|
1 技術開発の動向
船舶における技術開発は専用化,大型化,高速化等の輸送の効率化と,運航面における省力化,自動化等の面で進められている。運輸省は,このような技術開発を進めるとともに,安全,公害防止のための技術開発を進めている。昭和48年度に重点的に推進した技術開発項目には次のものがある。
(1) 巨大タンカーの研究
船舶はますます大型化の傾向にあり,特にタンカーの巨大化は著しい。48年2月には,48万重量トンタンカーが我が国造船所でしゅん工しており,また,外国では51年には55万重量トンのタンカーがしゅん工する予定もある。
このようなタンカーの大型化傾向に対処するため,48年11月に出された「100万重量トン型タンカーの建造に関する総合的な技術開発方策について」の運輸技術審議会答申をうけて,49年度より3か年計画で巨大化に伴う安全確保及び公害防止に関する技術的要件を明らかにするため,船体構造強度,運航性能,船体の運動応答に対応する航海装置,大出力推進機関等の研究を進めている。
(2) 大型超高速コンテナ船の開発
貨物のコンテナ化が急速に進むとともにコンテナ船は大型化,高速化しており,今後この傾向はますます進展するものと予想される。運輸省は高速船の技術を更に増進するため47年度より5か年計画で5万重量トン(コンテナ積載個数3,000個),35ノットの大型超高速コンテナ船の開発を進めている。
この開発計画のひとつである中速ギャードディーゼル機関については,48年度に実用化試験が行われ,1気筒当たり1,500馬力の高性能を示し,今後,更に1気筒当たり2,000馬力の高出力化を図る予定である。
(3) 船舶の省力化,自動化に関する研究
船舶の省力化,自動化は機関室の無人化から進められている。更にコンピュータを搭載して,航法,機関制御,荷役等の自動化を図っている船舶も就航している。このような自動化船,更に高度に集中制御された超自動化船の航法,機関制御,荷役等のシステムのあり方や信頼性確保等を調査研究し,かつ乗組員の訓練を行うためのシミュレータの研究開発を47年から2か年計画で進めて来たが,49年3月その最終的な基本設計を終了した。
(4) 航行衛星利用に関する技術開発
船舶の運航の安全性向上及び効率化を図るためには,現用の地上局をベースとした中波,短波での通信及び航行援助方式では通信容量,通信性能及び利用範囲等に限界があり,より高度なシステムの開発が必要とされている。
この国際的認識のもとにIMCOにおいて,衛星による通信,航法等について検討を進めているが,我が国においても衛星を利用した航法,通信のシステム及び船上設備について研究開発を進めている。
(5) 船舶の防食防汚対策
船舶の大型化に伴い造船所における塗装,防錆,清掃等の作業量が増大しており,これらを安全かつ効率的に行うため,47年度から5か年計画で塗装の機械化等の開発,バラストタンクの腐食を防止するための研究及び運航性能に大きな影響を及ぼす藻類の付着を防止する研究を推進している。
(6) 公害防止の技術
公害防止に対する社会的要請は年々強まっており,船舶関係の各分野においても技術開発を進めている。
海洋環境保全を図るため,運輸省は大容量油水分離装置の開発を官民共同で推進するとともに,タンカー等の座礁による流出油を回収する高性能油回収船の試設計を実施した。
|