第3節 離島辺地輸送対策


  離島辺地の航空輸送の確保は,民生の安定向上,地域の振興のため強く要望されている。しかし,離島辺地への航空路線は,輸送需要が少なく経営採算が悪いこと等のため,定期航空路線から取り残され,限られた一部の区間において,小型機を所有する航空運送事業者(小型機事業者)により不定期航空運送事業として実施されていた。
  このような状況のもとに,昭和47年5月横浜航空(株)の事故が北海道で発生したことにもかんがみ,離島辺地の航空輸送について,安全性の確保及び空港の効率的な整備をはかりつつ,安定した輸送力を確保するための方策を確立する必要が生じた。
  そこで,47年10月,これに関し航空審議会に諮問し,同年12月に大要次のことを内容とする答申を得た。
 @ 離島辺地の航空輸送を確保するため,定期航空運送事業者,小型機事業者及び関係地方公共団体等の出資により新会社を設立する。
 A 新会社は,主としてSTOL機を使用して離島辺地航空輸送を中心とする近距離定期航空運送事業を行う。
 B 定期航空運送事業者は資金,技術,営業の各面における支援を,また,国及び地方公共団体は助成(航空機購入補助)を行う。
  上記答申の趣旨にそって,49年3月13日,日本近距離航空株式会社が設立され,同年8月10日より札幌―稚内―利尻及び新潟―佐渡の2路線,同年10月15日より札幌―奥尻―函館,札幌―中標津及び札幌―紋別の3路線の運航を開始した。同社の使用する航空機(STOL機)3機の購入に当たっては国及び地方公共団体より補助金(それぞれ購入価格×0.9×0.45,購入価格×0.9×0.25)が交付されている。
  また,沖縄地区を運航する南西航空(株)の使用するSTOL機2機の購入に当たっても国及び地方公共団体より補助金(それぞれ購入価格×0.9×075,購入価格×0.9×0.25)が交付されている。
  一方,空港の整備事業としては,48年度は4億2,700万円の事業が行われ,49年度には,2億8,200万円を計上し,整備を推進している。

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