第3節 海象


  西部太平洋海域の昭和48年夏季の海況は前年と比較して差が大きく,海面水温は全般的に1℃以上,特に北緯20度〜25度の海域では3℃も高く,海面塩分は非常に低かった。
  北赤道海流の幅は47年に比較し狭くなり,流量は10%程度減少した。これら海況を過去の海況推移からみると,47年の低温,高塩分の現象がむしろ異常であったと考えられる。
  三陸沿岸部については48年4,5月頃から親潮が沿岸部へ南下し,著しく低温になり,49年2月には,その広がりが顕著になり,加えてオホーツク海から太平洋側へ海氷が多量に流出したため低温で軽い水が海面が覆い,これが季節風により三陸沿岸に運ばれ,沿岸部の魚介類がショック死を起こしたり,湾内では珍しい結氷現象によって養殖ワカメの被害等が発生した。
  日本沿岸の月平均潮位は北日本,日本海沿岸では高く,本州南岸から沖縄県にかけての沿岸ではやや低めに経過した。ただ,7月下旬から8月初めにかけ台風第6号が本州南沖に停滞し,東海地方と瀬戸内海東部の沿岸で異常潮位が発生し,兵庫県洲本や静岡県清水の低地で浸水等の被害が起きた。
  オホーツク海の海氷の発達状況は,11月末頃は平年並みであったが,以後,平年より約1週間早く結氷が盛んとなり,1月上旬後半には,南下して北海道沿岸に接岸した。流氷の漂着はその後も続き,氷量は平年の2,3倍であった。

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