第1章 港湾の概況

  昭和50年7月5日現在,全国に1,083の港湾が存在する。うち特定重要港湾は17,特定重要港湾以外の重要港湾は106,地方港湾は960(うち避難港は35)である。
  港湾の管理は,普通雌方公共団体又はこれを母体とする一部事務組合若しくは港務局が行うことになっているが,一部事務組合は全国で4例,港務局は全国で1例にすぎず,ほとんどは都道府県又は声町村が港湾管理者となっている。
  49年の我が国における港湾取扱貨物量は約26億6,400万トンと前年比1.3%の増であった。
  入港船舶は49年は総隻数974万隻,総トン数では28億9,600万トンであり,前年に比べ隻数で0.7%,総トン数で12.1%の増であった。
  また,近年,入港船舶の大型化,専用化の傾向は著しいものがあり,これらに対処するため港湾の整備が積極的に進められたが,併せて,港湾の環境問題に対処するため,港湾の環境整備の比重も著しく増大した。第4次港湾整備5カ年計画(46〜50年度,総事業費2兆1,000億円)の第4年度にあたる49年度においては,事業費3,160億用をもって整備が行われ,5カ年計画に対する進ちょく率は65.3%となった。
  しかしながら,多大の資金を要する港湾整備のため,港湾管理者の財政は慢性的な赤字を続けており,49年度においても主要8港(東京港,川崎港,横浜港,名古屋港,神戸港,大阪港,下関港及び北九州港の8港をいう。)全体においては歳入の57.6%が地方公共団体からの補てんによるものとなっている。
  また,港湾を高潮,地震等の災害から守るため,提防,護岸等の港湾区域内における海岸保全施設の整備を行ってきたが,海岸事業5カ年計画の最終年度にあたる49年度までに,5カ年計画の83.6%を達成した。
  他方,近年における港湾を中心とした臨海工業雌帯への経済活動の集中等に伴い,公害の発生等港湾における環境の悪化の問題が深刻化している。このような事態に対処し,港湾の秩序ある整備及び適正な運営により港湾環境を保全するため,49年度において港湾法の改正に伴う一連の政省令等の整備を行った。
  港湾運送事業については,コンテナ輸送の定着等輸送形態の変化に対応すべく,事業の近代化,合理化を進めている。
  また,倉庫業については,保管需要の増大はやや鈍化しつつあるものの,なお庫腹不足の著しい大都市港湾部において,普通倉庫及び冷蔵倉庫の整備の充実を図っている。