第2節 国際貨物輸送


  外航海運による我が国の国際貨物輸送量は,昭和40年度から48年度までの間に,輸出は年平均12%,輸入は15%といずれも実質国民総生産の平均伸び率を上回る勢いで増加してきた。
  しかし,49年度は,原油価格の高騰による原油輸入量の減少に国内景気後退に伴う輸入の減退が加わり,輸入量は前年度比1.3%の減と40年度以降初めての減少を経験した。これに対し,輸出量は世界的な景気停滞にもかかわらず前年度比26.7%の増加を示した 〔1−3−8表〕

  なお,好調であった輸出も50年に入ると減少し始め,4〜6月期には,前年同期の水準を下回った。
  輸入量を品目別にみると原油の減少から,輸入量全体の45%を占める油類が前年度比4%の落ち込みとなった。これに対し,乾貨物類は,木材が不況による住宅建築着工の急激な減少を反映して27.1%の大幅減となったが,輸入量の約1割を占める石炭が11.7%の増加,また約2割を占める鉄鉱石が0.3%の増加したことなどから全体では微増となっている。
  また,品目別輸出量では,世界的基礎資材不足と国内需要の減退による輸出余力の増大から鉄鋼の輸出量が33.3%増加し,輸出量全体の50%を超えるに至った。これが,世界主要国における景気停滞のなかで我が国の輸出量が増大した主因である 〔1−3−9表〕

  次に,地域別輸出入実績を通関額で見ると輸出では,景気後退や外貨事情の悪化に悩む米国,西欧,東南アジアのシエアが縮小し,中近東,共産圏のシエアが拡大している。また輸入では原油価格の上昇により中近東のシエアが増大し,他は全て縮小した 〔1−3−10表〕
  我が国商船隊(外国用船を含む)による輸送量は48年と比較すると,輸出は40.8%増,輸入は2.7%増で,いずれも輸送量全体の伸びを上回った。この結果,我が国商船隊の積取比率は輸出入とも上昇し,輸出48.4%,輸入66.4%となった。しかし,これは外国用船の積取比率の上鼻によるものであり,日本船の積取比率は逐年低下している。
  このような外国用船による輸送量の増大と日本船の退潮傾向は,日本船の国際競争力の減退を反映したもので中小型船市場において著しい 〔1−3−11図〕
  49年度の国際航空の輸送量は,近年の著しい増大傾向から一転して輸出4.5%減,輸入5.2%減と,いずれも我が国の輸出入総量の落ち込みを上回って減少した。殊に日本航空(株)による輸送量の落ち込みは大きく,日航の積取比率にも低下がみられた 〔1−3−8表〕。なお,不振であった国際航空輸送量も,50年に入ってからは増加に向い,4〜6月期には前年同期の水準を上回った。


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