第2節 港湾管理者財政


  近年分港湾取扱貨物量の増加に伴う施設整備必要量の増加,港湾における環境の保全のための事業の増加,建設コストの高騰等に伴って,港湾管理者の財政負担は増大している。
  48年度における主要8港の港湾管理者財政の概況を官庁会計方式によってみると, 〔II−(III)−10表〕のとおり歳入,歳出総額とも前年度比9%の増である。

  歳入の構成をみると,使用料等の収入は前年度の24.4%から48年度の25.0%へと増加しているが,公債(27.9%),一般財源(29.7%)の合計は57.6%となり,これらの資金が全体の半分以上を占めている状況である。また,歳出の構成は,機能施設整備費が前年度の14.0%から48年度の16.8%へと増加し,一方基本施設整備費は前年度の44.6%から39.5%に減少した。
  次に,港湾管理者財政の損益を明らかにするため,48年度経常収支(経常収入として施設使用料及び役務利用料,経常費用として管理費,公債利子及び減価償却費(港湾管理者の実質負担分のみ)とする。)を企業会計方式によって試算してみると 〔II−(III)−11表〕のとおり収支比率は47年度は148,48年度は143とほぼ横ばいの傾向であるが,その赤字額は9%の増加となっている。なお,公債利子は前年度比19%増加しており,経常費用に占める割合は27%となっている。

  このような情勢に対処するため,国は港湾整備のための資金として港湾管理者に補助金を交付するとともに,ふ頭整備資金貸付金の貸付けを行うこと等により,港湾管理者の財源の整備を図ってきた。また,49年7月から,一定の事業者に港湾の環境の整備に要する費用の一部を負担きせる港湾環境整備負担金の制度を創設し,港湾の環境を整備する事業においては港湾管理者の財政負担の軽減を図ることとしている。
  しかしながら,港湾整備事業の増大,諸経費の増加等に伴う港湾管理者財政のひっ追状況は継続すると考えられるので,今後とも財政収支の改善に対する対策の樹立が必要である。


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