第3節 航路標識業務
船舶が安全かつ経済的に航行するためには,常に自己の位置の確認又は危険な障害物の所在のは握が必要であり,そのための指標として航路標識は必要不可欠のものである。特に,近年の船舶交通の量的,質的な変化により,航路標識に対してますます多様なサービスの提供が要求されている。
海上保安庁は,このような情勢に対処して,我が国の沿岸,港湾,狭水道等各海域における船舶航行の特殊性に応じて必要な機能を具備した航路標識を重点的に整備するとともに,既設航路標識の機能及び信頼度の向上に努めている。
昭和49年度には,オメガシステム,東北デッカチェーン及び東京湾海上交通情報機構の整備を実施したほか,沿岸標識,港湾標識等113基の航路標識を新設するとともに,標識機能の改善向上等441件の改良改修を行った。一方,港湾情勢等の変化に伴い,49基の航路標識を廃止したので,49年度末において海上保安庁が管理している航路標識は4,540基である。
わずか8局のオメガ送信局からの電波により全世界をカバーする汎世界的な航行援助システムであるオメガシステムについては,そのうちの一局を長崎県対馬に建設し,50年5月から世界で5番目の局として業務を開始した。
次に,位置測定精度の高い中・近距離用の電波標識であるデッカチェーンについては,北海道及び北九州のチェーンに続き,48年度から東北デッカチェーンの整備を進めており,50年度には一部業務を開始する予定である。
更に,東京湾内の港内,狭水道を航行する船舶に対し,交通情報の提供と航行管制を行うことを目的とする東京湾海上交通情報機構については,既に,京浜港川崎区及び横浜区のシステムを完成し,その運用を開始しており,49年度は,観音埼のレーダー局の整備を行った。なお,50年度は,引き続き観音埼のレーダー局の整備を進めるほか,新たに東京区について整備に着手する予定である。
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