5 我が国の海外観光宣伝
近年の我が国の国際化の進展と国際社会における役割りの増大に伴って,諸外国との相互理解や国際親善の必要性がますます高まっている折から,外客を我が国へ誘致して我が国に対する理解を深めさせることがきわめて重要であり,このため政府は特殊法人国際観光振興会に対し補助金を交付し(昭和50年度は14億9,200万円),わが国の海外観光宣伝を実施させている。同振興会は,世界の16都市(北米7,中南米2,欧州4,東南アジア2,豪州1)に配置された観光宣伝事務所を中心として,在外公館,日本貿易振興会,その他現地日本関係機関と密接な連携を保ち,海外観光市場の動向を把握しつつ,観光宣伝活動を行っている。
その事業のおもなものは,広告・広報,トラベルセミナーやプレゼンテーションの開催,協力宣伝(外国の報道関係者等をわが国に招請し,その日本旅行に関する記事の取材に協力する形で行う宣伝),海外催物の開催・参加,宣伝印刷物・映画の作成配布,国際的観光機関との共同宣伝などであり,その宣伝対象としては現地旅行業界を主とし,あわせて一般旅行者層に対する日本観光事情の紹介を行っている。
一方向振興会では,外客受入体制整備の一環として,わが国に来訪する旅行者の便宜をはかるため,東京(有楽町。このほか東京国際空港内に派出所)および京都に総合観光案内所を設け,各国語による旅行情報の提供,英仏語によるテレツーリスト・サービス(東京のみ),ホームビジット(家庭訪問)の案内等を実施している。
最近の内外諸情勢を反映して,訪日外客が伸びなやみの傾向にあり,また旅行経費が依然割高傾向にあるなかで,今後一段と進展が予測される旅行の大衆化に即応すべく,リーズナブルな価格と充実した内容の旅行を積極的に紹介する必要があり,このためには,海外宣伝と外客受入体制整備事業の両面にわたり,地方公共団体,観光関係諸団体,運輸機関等との協調体制を従来にも増して強化し,総合的かつ効果的な外客誘致策を推進する必要がある。
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