第3節 観光レクリエーション環境の保全
近年,自然志向型の観光レクリエーション活動が著しく増大して来たが,他方これに伴い自然破壊,ごみによる汚染,マイカーによる騒音,排気ガス等,いわゆる観光公害が大きな問題となっている。このような状況に対処するためには,観光地のごみ処理体制の整備,水質汚濁の規制,マイカー観光の規制,観光資源の保護等,国及び地方公共団体等が適正な対策を講じていく必要があるが,同時に利用者である国民一人一人のモラルの問題としてその向上を図らなければならない。
このような観点から,国民に正しい観光観念を普及し,観光資源の保護,観光レクリエーション環境の改善を図るため,昭和40年から毎年「観光道徳の高揚と観光資源の保護週間(観光週間)」を実施してきたところである。50年度も8月1日から7日まで,運輸省のほか関係各省庁・都道府県等の主催,運輸業者,ホテル・旅館業者等の団体の協賛によって観光週間を実施し,観光道徳の高揚,観光資源の保護,観光地の美化,観光旅行の安全の確保に努めた。
50年度は昨年度に引続き,上記に述べた観光地におけるごみ等による汚染及び日本人海外旅行者のマナー等の現状に照らし,特に「空ビン,空罐等の持帰り運動」及び「海外旅行のマナーの向上」に重点をおいて実施した。
また,観光資源の保護については,国民的財産として後世に継承するに足る観光資源を保存し,その活用を図ることによって観光の健全な発展を促進することを目的として,(財)観光資源保護財団が昭和43年12月発足しており,50年三月末までに保護対象として国際保護鳥トキ,香川県の猪熊邸をはじめ47件を指定し,助成金を交付して来た。同財団はこのほか,観光資源保護思想の高揚に努め,保護を要する観光資源の保護計画要綱を作成する等の活動を行っている。
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