第1節 気象
昭和49年度は,春期の大雨と北日本方面の異常高温,夏期の長期にわたる梅雨期間,秋期の北日本方面の真冬なみの寒気,冬期の各方面の大雪に続き,各地で大雨となる気象状態であった。
49年の台風は発生数が32個で,前年の21個を上回り,平年の約28個よりも多かったが,上陸したのは3個であった。それらの経路は 〔V−1図〕に示すとおりである。
次に主な異常気象を発生順に述べると,4月上旬には,東北,北海道を除いた各地で記録的な大雨が降り多雪地帯では融雪洪水も起った。5月中旬には九州方面に100〜300mmの大雨が降り,一方,北陸,北日本を中心とした地域は30℃を越す異常高温となった。
梅雨期間は全国的に長く,雷が多発し,また陽性であった。7月上旬に台風第8号が九州西方かち日本海南部に入り,梅雨前線を刺激して小豆島・淡路島方面を中心に四国から関東までの広範囲で300〜500mm,多い所では800mmを越す大雨が降り,本年最大の災害が発生した。北海道では6月に平年の2倍以上(特に東部)の大雨があったが,7月には雨量が平年の14%しかない所があり,異常少雨となった。遅い梅雨明けの後,盛夏が長く,8月下旬から9月上旬にかけて台風が続発し,ほぼ1週間毎に第14,16,18号が上陸した。特に第16号の影響で降った大雨により,東京地方では多摩川が64年ぶりに決壊した。
秋の長雨は顕著で,9月中旬から10月にかけて,活発化した秋雨前線のため東日本を中心に各地は大雨にみまわれた。
11月に入ると,北日本に早くも真冬なみの寒気が流入し,大雪が降った。12月には時々冬型気圧配置が強まり,天気は周期的に変化したが,北陸方面はほとんど無雪で越年した。50年1月上旬から中旬には大陸から寒気が流れ込み,山陰以北の日本海偶や北日本に大雪が降り,積雪の記録を更新する所も出て,38年豪雪を思わせる寒冬となった。下旬には顕著な南岸低気圧により,中国地方や太平洋測の各地にも大雪が降った。2月下旬にも,南岸低気圧により関東以西の各地に大雪が降り,さらにこの低気圧の北上に伴い東北地方の太平洋側では激しい暴風雪となった。また,3月下旬にも,2つ玉型低気圧の東進によりほぼ全国的に大雨が降り,北海道東部では大雪となった。大雨は東北北部から北海道にかけての地域で特に多く,3月としての日雨量の記録を更新した所もあった。また,この大雨は多雪地帯に融雪を促し,北上川等にあっては警戒水位を越した。
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