第3節 海象
西太平洋海域(東経137°線上)における,昭和49年度夏期の海況は,全般的に異常低温年であった47年に類似して,平年的であった前年の海況よりも低温の傾向がみられた。
北赤道海流の北限の位置は北緯21度付近にあって,平年より1〜2度南偏し,また,流れの幅は幾分狭くなり,西向きの流量も少なく例年の60%程度に過ぎなかった。それに,黒潮反流の幅も平年より狭いことが特徴であった。また,赤道海域の表層混合層では平年よりも水温はやや低温であったが,塩分はかなり高目であった。
東日本海域の親潮の第1分枝は49年2〜3月には,平年より広範囲に南までのび,同海域は非常に低温になっていたが,その後,黒潮から分離した暖水塊が岸寄りに位置することが多く,夏期以降は平年並みとなった。ただし常磐沖には小冷水域が座り続けやや低目(1〜2℃)の期間が続いた。
なお,日本沿岸の月平均潮位は,瀬戸内海沿岸をはじめとして,日本列島南岸及び沖繩沿岸でやや高く,ほかは平年並みであった。また,オホーツク海の海氷の発達状況は,平年並みであったが,北海道沿岸部への到来は平年よりやや遅く,オホーツク海南西部を中心に50年2月以降より漸次氷量を増した。
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