第2節 環境汚染と気象業務
経済活動による大気及び海洋の環境汚染は,近年とくに甚だしくなり,世界的に大きな問題となっている。環境汚染は気象や海象により左右されることが多いが,他方,汚染された環境が全体的な気候にも影響を及ぼすなど気象業務とは深いかかわりがある。
このため,気象庁は,環境汚染に関して,大別して2つの業務の整備を図っている。ひとつは,主として都通府県等が行っている大気汚染防止の諸施策に役立つ大気汚染気象通報の提供であり,他のひとつは,大気・海洋のバックグラウンド汚染の観測(高濃度汚染源の直接の影響を受けない大気及び海洋の汚染状態の組成変化等の常時観測)である。
49年度には,大気汚染気象通報に関しては,新たに福岡に大気汚染気象センターを設置し,従来から運用して来た東京・名古屋・大阪・広島の各センターとともに,関係地方気象台と協力して,都道府県の行う汚染防止の施策に役立つ気象情報の提供に努めた。また,バックグラウンド汚染は,世界気象機構(WMO)が推進しているもので,49年度において岩手県三陸町綾里の観測所の整備を行った。
また,海洋バックグラウンド汚染については,我が国の周辺海域で,あらかじめ決めた定線上を,函館,舞鶴,神戸,長崎の各海洋気象台が,各々担当して年4回ずつ観測を行っている。このほか,気象庁(本庁)においては凌風丸で,我が国の沿岸から赤道までの間に設けた定線上の観測を実施している。
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