第3章 モータリゼイションの進展

  昭和40年代において,我が国のモータリゼイションは一段と進展をみせた。40年度末には812万台であった自動車の保有台数は,51年8月末には3,090万台を突破しており,国際的にみても我が国は米国に次いで世界第2位の自動車保有国となっている 〔2−3−1表〕

  自動車の運転免許所持者も逐年増加してきており,50年末には3,350万人を数えている。自動車の運転免許取得が可能となる16才以上の年令では10人のうち4人が,また,年令20才以上50才未満の働き盛りの成人男子では実に5人のうち4人までが運転免許を所持している。
  また,我が国の道路も急速に整備が進められ,30年度には,道路の舗装延長はおよそ1万キロメートルにすぎなかったが,51年度当初にはその舗装延長は36万キロメートルに及んでいる。この結果,米国は別格として,他の西欧諸国と同程度の長さの舗装道路が我が国に存在するようになっている 〔2−3−2表〕

  さらに,自動車輸送量は40年度から50年度までの間に旅客人キロ3.0倍,貨物トンキロ2.7倍と急速に増加しており,50年度における自動車の国内輸送に占める分担率は,旅客人キロで50.8%(40年度31.1%),貨物トンキロで36.0%(40年度26.0%)を占め,自動車は我が国の客貨の輸送に大きな役割を果している。
  また,所得の向上に伴う生活水準の上昇及び自由時間の増大は,特に自家用乗用車の普及を促し,今や自家用乗用車は市民生活に重要な位置を占めつつある。
  一方,40年代に入って,交通事故の多発,道路混雑の激化,排出ガスによる大気汚染,騒音や振動による生活環境の破壊等モータリゼイションのマイナス面も表面化し,自動車の使用は,これらの問題と調整を図りつつ考えていかなければならなくなっている。
  このように自動車は,我が国社会に正負両様の効果を及ぼしながら急速に普及して,今や社会生活の一部と化しており,「くるま社会」という言葉さえ生れている。
  自動車の保有台数は,普及率,特に乗用車のそれが西欧諸国と比較して未だかなり格差があること,地方において一層の普及が見込まれること,道路の整備が進められていること,乗用車使用の個人化が進行していること,週休二日制の普及等により自由時間が増加していること等からみて,今までより伸び率は低下するけれども今後とも絶対数は増加傾向を持続するものと予想される。
  以下,本章では,このような自動車の普及とこれに伴う問題点を考察するが,交通安全の確保と公害防止については第7章及び各論に譲ることとした。


第1節 自家用乗用車の急速な普及

第2節 自家用乗用車の普及と旅客輸送

第3節 トラック輸送の成長