2 災害対策の推進
(1) 災害対策の実施状況
災害をできるかぎり未然に防止し,万一災害が発生した場合も被害の拡大を防止し,早急に復旧作業を実施して国民生活に及ぼす影響を最小限にとどめることは是非必要なことである。このため運輸省,海上保安庁,気象庁はいずれも災害対策基本法に基づく指定行政機関として防災業務計画を定め,予警報の伝達,災害出動等防災のための施策を実施している。最近数年間の災害対策関係予算の推移は 〔2−7−10表〕に示すとおりである。
(2) 災害対策の今後の方向
ア 海上防災対策の推進
前述の第10雄洋丸衝突火災事故,三菱石油水島精油所流出油事故を契機として,海上災害に対する総合的な防災対策の強化が強く要請され,51年9月1日に海洋汚染防止法の一部を改正する法律が施行された。これにより,大量の油流出,引火性危険物の排出,海上火災の発生等に対処するための措置及び現場周辺海域を航行する船舶に対する危険防止に関する措置の強化が図られるとともに,民間自主防災体制の強化,さらには,海上災害の防止に関する業務を実施する海上災害防止センターの設立認可がなされ,今後の海上災害に備えることとなった。
イ 大都市震災対策の推進
各種産業及び人口が集中している大都市において,一旦大地震が発生した場合およそ想像がつかない程の大規模な被害が予想される。それ故万全の備えが必要とされるところである。地震対策は,地震予知と震災対策に分けられるが,多方面にまたがり,かつ相互の関連性を必要とすることから,国及び都道府県並びに市町村が一体となって総合的かつ広域的な対策を確立する必要がある。運輸省,海上保安庁,気象庁は関係各機関と密接な連携を保ちつつ震災対策の推進を図っている。今後特に重点をおいて推進すべき対策は以下のとおりである
(ア) 地殻変動の観測と地震観測による予知を主たる内容とする測地学審議会の建議及び中央防災会議の申し合せに基づく第3次地震予知研究計画(49〜53年度)の推進
(イ) 地震予知連絡会(44年4月国土地理院に設置)において地震予知関連情報の交換とこれらの情報に基づく地震予知に関する統一見解を出す一方,地震予知研究推進連絡会議を発展的に解消し,51年10月,内閣に設置された地震予知推進本部の場を通じての地震予知の推進強化
(ウ) 大都市震災対策推進要綱(46年5月中央防災会議決定)に基づく防災体制,避難対策,救護対策等各種震災対策の推進
|