第1節 気象


  昭和50年の台風発生数は21個で,平年の28個にくらべてかなり少く,しかも,7月下句までに3個発生したにすぎなかった。上陸したのは,8月中の第5,6号の2個であり,第13号は10月に八丈島付近を通過,向島に大きな影響を与えた。その経路は 〔V−1図〕に示した。

  次に50年度の主な異常気象を述べる。
  4月中旬末から下旬前半には,関東以西で長雨があり,5月17〜18日には,北海道東部で150〜200mmに達する季節はずれの大雨が降り,死者3人,行方不明1人をだしたほか交通機関などに被害があった。
  5月下旬から6月上旬末にかけては,上空の寒気の流入による大気の成層不安定が原因で,北海道を除いた各地で発雷,降ひょうにより農作物などに大きな被害があった。
  梅雨は,はじめは不活発であったが,6月中旬ごろから活発となり,所々で集中豪雨が発生した。
  7月下旬から8月は,関東以西では猛暑が続き,また,8月上旬には,各地で局地的な集中豪雨が起こり,6日未明に青森県岩木町では土石流により死者22人がでた。山形県でも真室川や鮭川がはんらんし,死者4人,行方不明1人,家屋の流失,浸水など約850棟の大被害となった。
  8月17日には台風第5号が高知県に,同月23日には台風第6号が兵庫県に上陸し,特に高知県では大災害となった。さらに北海道では8月23日〜25日に,台風第6号が衰弱して低気圧となり大雨を降らし石狩川がはんらん,堤防が決壊し大洪水となった。
  9月には台風の来襲がなく,記録的な異常少雨と残暑のため,7月以来,大雨のなかった,九州北西部,関東,東北南部などでは局地的な干ばつが起こった。
  10月5日には小型だが強い勢力をもった台風第13号が,八丈島付近を通過,同島に大きな被害を与えた後,本州では秋霖が活発となり,11月中旬まで,各地で季節おくれの大雨が降った。
  12月も上旬には全般に曇雨天の日が多かったが,中旬半ばからは冬型の気圧配置が現われるようになり,日本海側の地方や北日本では雪が降ったが,積雪は割合少なかった。
  51年1月の中旬末から下旬半ばには,本州付近は強い冬型の気圧配置が持続し,新潟県を中心とした日本海側の地方や北日本では記録的な大雪が降り,交通途絶や生鮮食料品の値上りなど,国民生活に大きな影響がでた。一方,太平洋側の各地の12月中旬からの乾燥した晴天は,2月上旬半ばまで続いた。
  3月下旬から4月中旬はじめまでは,ほぼ全国的に低温傾向が続いた。この傾向は関東以北の地方で顕著であり,3月19〜20日には山陰以北の日本海側の地方では,3月下旬としては珍しい大雪が降った。


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