4 今後の課題


  経済活動の活発化に伴い,人及び物資の移動は広域化,大規模化し,ここ10年間に輸送量は人キロ・トンキロでそれぞれ約2倍に近く伸びてきた。
  この輸送の伸びを支えてきた主なものは,新幹線鉄道の建設であり,長距離フェリー網の整備であり,またモータリゼーションの普及である。これらはいずれも運輸技術開発の成果に負うところが大であるが,同時に騒音,振動,排ガス,廃油等の公害問題,輸送の安全確保の重要性がクローズアップされ,この面での技術開発も社会の強い要請に応えて,官民協力して行われ多大の成果をあげてきている。
  我が国のような高密度社会においては,よりよい生活環境を築く上からも,輸送の効率化及び安全公害対策はますます重要性を増してきており,また省資源,省エネルギーへの要請も高まっている。運輸技術開発もこの目的に沿って実施されており,今後もこの路線を進めていく必要があろう。
  具体的には,運輸省は運輸大臣の諮問機関である運輸技術審議会に諮り,その意見を徴して重要施策の方向付けを行ってきている。現在までに45年分諮問第1号「運輸技術の研究開発に関する基本的方策」に対する答申をはじめとして前述の52年の諮問第9号までの答申あるいは中間答申を得て,それぞれの技術開発に関する基本指針を決定している。
  運輸関係技術開発の今後の課題は次のとおりである。 第1に,高度成長の歪を是正し,社会的要請に応え,よりよい生活環境を整備するための技術開発,すなわち公害防止のための技術開発及び安全性,信頼性向上のための技術開発の必要性は今後ますます高まるものと予想される。
  第2に,資源小国である我が国はエネルギー資源の確保及びその有効利用を図る必要があり,省資源,省エネルギーを目的とした技術開発を推進する必要がある。
  第3に,新規大規模技術開発として,海洋開発,宇宙開発,深海利用技術開発,超高速鉄道の開発等があり,これらは長期計画を策定して推進すべきものである。
  第4に,地震予知,大雨予想等の防災技術開発があり,その他附属研究機関が実施している将来の技術開発の素地を培う基礎的研究の推進も重要である。
  また以上の研究開発に際しては,ハード面はもとよりソフト面からも並行して進め,多角的効率的な技術開発を実施する必要があろう。
  これらの技術開発はいずれも国民生活に密着したものであり,より豊かな生活環境を確保し,経済社会の発展を持続させるためには,運輸関係の技術開発が担う役割は大であり,より一層の官民協力の下で技術開発体制の確立を図る必要がある。

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