2 労働条件の改善のための指導


  漁業,内航海運業等の中小企業においては経営基盤が脆弱であるため,一般に労働条件の水準が低く,労務管理体制も整備されておらず,このことが船員法の遵守を阻害するとともに労働力の確保を著しく困難としているほか,海難その他の労働災害を頻発させる要因ともなっている。
  このような事態を改善するため,漁業及び小型船船員の労働条件に関する基準を定め,行政指導により船舶所有者及び船員を啓蒙し事態の速かな解決を図るべく努めてきたが,51年度においては50年度に引き続き,特に漁船に重点をおき,労働時間の自主規制,休暇の付与,食料支給の改善,全歩合制賃金の廃止,大仲制度(漁労に直接,間接必要な経費を漁獲高より差引き,その残余を船主と船員で分配する制度)の廃止,雇用の継続化等について各業種の特性,経営の実状等を考慮の上,実態に即応した効果的改善が確保されるよう指導を行った。
  また,労務管理体制の確立及び近代化を図るため漁船船員及び小型船船員を雇用する中小企業団体を対象として,労務担当者の設置及び労務管理部門の組織化を指導奨励するとともに安全衛生管理に重点を置いた教育講習会を開催して,労務管理に関する必要な基礎理論,実務知識の習得等その資質の涵養と向上を図った。


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