1 騒音


(1) 環境基準について

  50年7月29日付けで告示された新幹線鉄道騒音に係る環境基準の概要は 〔I−(I)−23表〕, 〔I−(I)−24表〕のとおりである。

(2) 騒音対策の実施方策

  政府は「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」の円滑な達成に資するため,騒音対策の基本事項を定めた「新幹線鉄道騒音対策要綱」(51年3月5日閣議了解)を策定し,諸施策を強力に推進することとしている。
  なお,その概要は次のとおりである。

 ア 音源対策

      技術開発を総合的かつ計画的に推進し,その成果を効果的に活用する。

 イ 障害防止対策

      国鉄等は,住宅及び学校等の所有者等が,新幹線鉄道の騒音により生ずる障害を防止し,又は軽減するため建物の防音工事並びに移転工事を行うとき,その費用の全部又は一部を助成する。
      障害防止対策の実施に当っては,住宅で,騒音レベルが80ホン以上の区域に所在するものを優先して行う。また学校,病院等の施設については,騒音レベルが70ホンを超える区域に所在するものについて可及的速やかに実施する。

      対象とする建物は,既設新幹線鉄道においては,51年3月9日に現に所在するものに限り,又,工事用新幹線鉄道及び新設新幹線鉄道は開業の日に現に所在するものに限ることとした。

 ウ 沿線地域の土地利用対策等

      新幹線鉄道の騒音を防止し沿線の生活環境を保全するため,沿線の土地利用等に関して新幹線鉄道との調和を図る。

 エ その他

      新幹線鉄道の振動の著しい地域において,騒音対策を実施する場合は,振動対策上必要とされる措置に配慮して実施する。
      なお,国鉄においては,本要綱に基づき51年12月「新幹線鉄道騒音・振動障害防止対策処理要綱」を策定し,これら対策について鋭意推進中である。

(3) 騒音対策の実施状況

  東海道新幹線鉄道の騒音レベルは,開業後,線路中心から25メートル離れた地点で,一般区間においては86ホン〜88ホン,特に騒音の大きい無道床鉄げた区間においては100ホン前後の値を示してきた。
  このため,一般区間における防音壁の設置等の音源対策を実施した結果,大部分の区間においては80ホン未満となっているが,一部においては,まだ81ホン〜83ホンの値を示している。また,特に騒音の著しい無道床鉄げた区間については,橋げた防音工等種々の対策を講じた結果85ホン近くまで低下できる状況となっている。
  音源対策の実施状況は 〔I−(I)−25表〕のとおりである。

  しかし,現在の技術水準では,音源対策に限界があるので,建物の防音工事及び移転工事に着手し,52年度末までに防音工事733戸,移転工事259戸について実施した。
  なお,53年度に至り,関係市町村及び住民の理解と協力が縛られ,障害防止対策は急速に進捗している。


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