6 マラッカ・シンガポール海峡通航問題
マラッカ・シンガポール海峡は,我が国にとって輸出入貨物,特に輸入原油の枢要の輸送路であるため,我が国は同海峡の航行安全には重大な関心を払い,種々の航行安全対策を実施してきた。
一方,同海峡の通航の安全,海洋汚染の防止について,従来から強い関心を有する沿岸3か国(インドネシア,マレーシア及びシンガポール)は,同海峡通航のための規則を作成してIMCOに提出し,52年11月1MCOは同規則を採択した。同規則は,@海峡内3か所の危険水域についてTSS(分離通航方式)を設定し,Aシンガポール沖のTSSについて深喫水航路を定め,B海峡通航中は3.5mのUKC(船底下の余裕水深)を義務付け,C一定船舶は深喫水航路を通航すべきことを規定する等を内容とするものであり,沿岸3か国が早期に国連(IMCO等)の場で各国の協力を呼びかけたことは,同規則の実施を確保するため適切な措置であったものと評価されている。
この規則については,我が国としてもマラッカ・シンガポール海峡通航の安全確保及び汚染防止の観点から,原則的には満尾すべきものと考えている。しかしながら,シンガポール沖のTSSについては,安全対策上航路の若干の修正が必要であり,また,UKC規制については,原則的には受け入れられるものであるが,当面の暫定的な措置が必要であると考えられ,我が国はこれら2点を含め同海峡の安全,汚染防止対策にっき沿岸3か国と頻繁に協議を続けているところである。
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