2 磁気浮上方式鉄道の開発
磁気浮上方式鉄道は高速性とともに低公害性に優れ,技術的にも多大な開発波及効果が見込まれているため,運輸省としては,54年度から国鉄による超電導磁気浮上方式鉄道及び日本航空(株)による常電導磁気浮上方式鉄道の開発について補助の対象としており,これらの技術開発の円滑な推進を図るよう努めているところである。
(1) 国鉄における超電導磁気浮上方式鉄道の開発
国鉄によって開発が進められている超電導磁気浮上方式鉄道は,都市間を結ぶ超高速鉄道の開発を目的としたもので,45年頃から本格的な開発が行われてきた。50年には宮崎県に実験線が建設され全長13.5mの車両に超電導磁石を積載し,誘導反発磁気浮上方式,リニア・シンクロナスモーター推進方式による実験が開始された。
53年11月には,4.7qの区間において時速347qを達成し,54年には,この実験線を7.0qに延伸して,10月6日時速407qを記録,更に時速500q達成を目標として実験が行われている。
今後は,現在の軌道中央の突起構造物に案内・推進コイルを設置した逆T型走行路を,両側壁に案内・推進コイルを設置したU型に改造し,車両の連結走行,車載冷凍装置等の実験を行うこととしている。
(2) 常電導磁気浮上方式鉄道の開発
常電導磁気浮上方式鉄道は,電磁石が鉄板に吸引する力を利用して車両を浮上させ,推進力には車上と地上の間に働く電磁力を直接利用するリニアモーターを用いた鉄道である。
我が国においては,運輸省が大学,国鉄,民間企業の協力のもとに環境保全等を狙いとした都市近郊高速鉄道を,また,日本航空(株)が高速の空港アクセス交通機関をそれぞれ目標として研究開発を進めてきているが,53年度には,運輸省が研究開発を進めてきた磁気浮上方式鉄道技術の総合評価を行う一方,これまで独自に技術開発を進めてきた日本航空(株)に対し,同社の技術開発の現状把握と今後の技術開発課題を明らかにするため走行実験による諸データの整備等を内容とする調査を委託実施した。
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