1 海洋開発技術の動向
海洋開発については,世界各国とも多大な関心を示し,第三次国連海洋法会議の場を中心として排他的経済水域の設定,深海海底資源の開発等に関する問題が生じてきている。
国土が狭く,資源に乏しい我が国にとって,海洋の豊かな資源,エネルギー,海洋空間の開発利用は,今後の重要な課題である。また不況に直面している我が国の造船業界は新規需要の創出という観点から,海洋開発へ積極的に取り組んでいる。
このような情勢のなかで運輸省は,造船技術に基礎をおいた各種海洋開発技術の研究開発を推進する一方,運輸技術審議会により,昭和53年4月に答申された「浮遊式海洋構造物(貯蔵船方式)による石油備蓄システムの安全指針」をもとに,洋上備蓄に関し,自然条件の把握,環境保全,貯蔵船及び港湾の設計,保安防災等に検討を加えた。
(1) 大深度石油堀削船自動位置保持装置の研究開発
水深1,000m程度の海域で石油堀削船を定位置に保持する自動位置保持装置の開発を51年度から5ヶ年計画で実施しており,53年度は位置検知装置を製作しその水槽試験を行ったほか,スラスター特性の研究を行った。
(2) 全天候作業用船舶の研究開発
耐波性能,推進性能のすぐれた半潜水型全天候作業船の研究を52年度から4ヶ年計画で実施しており,53年度は,耐航性能,曳航性能,推進性能,強度等に関する研究を行った。
(3) 海上空港の浮体工沫に関する研究
超大型の海洋構造物である空港浮体に働く外力,それによって生じる浮体の挙動係留力等に関する研究を52,53年度に実施した。
(4) 海洋構造物に関する研究
海洋構造物に関し,保留索鎖,浮遊式海洋構造物の長周期運動,埋設型アンカー並びに海洋構造物に対する船舶の接岸力と衡突力等の基礎的研究
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