1 航空運送事業
航空運送事業には定期航空運送事業と不定期航空運送事業があるが,昭和54年7月1日現在で,定期航空運送事業の免許を受けているものは,日本航空,全日本空輸,東亜国内航空,南西航空,日本近距離航空及び日本アジア航空の6社であり,不定期航空運送事業については,定期航空運送事業と兼営してチャーター便等の運営を行っている上記6社に加えて,航空機使用事業と兼営して遊覧飛行等を行っているものが35社あり,合計41社が免許を受けている。
(1) 収支状況
ア 日本航空
日本航空の53年度の収支は 〔III−11表〕のとおりである。営業収入は前年度に比べ8.0%増の4,702億3,900万円で,総収入では同7.5%増の4,824億9,700万円となったのに対し,総費用は4,601億6,800万円で,経常段階で223億2,900万円の利益を計上したが,特別償却準備金の繰入等を行い,税引後利益は29億600万円となり,民間保有株式に対し,前年度に引き続き8分配当を行った。
53年度の国際線の営業収入をみると,ノースウエスト航空のストライキに伴う太平洋線の積取比率の向上等から,旅客輸送量は391万人(前年度比18.9%増),197億4,500万人キロ(剛6.9%増)と大幅に増加したが,旅客収入は円高による収入の目減り等により2,424億3,700万円(同9.0%)増にとどまった。一方,貨物輸送については供給力の拡大により,輸送量で12億237万トンキロ(同14.2%増)となったが収入額では円高による収入の目減り等により587億7,600万円となり,前年度を下回った。
国内線については,全体的に堅調な伸びを示し,旅客輸送量は884万人(前年度比8.1%増),71億500万人キロ(同11.1%増)となった。この結果,旅客収入は,1,251億200万円(同10.4%増)となった。一方,貨物は輸送量7,447万5,000トンキロ(同19.2%増)となり,収入も71億3,000万円(同9.2%増)となっている。
イ その他の定期航空会社
日本航空を除く定期航空運送事業者別の収支状況は 〔III−12表〕のとおりである。
全日本空輸の旅客輸送量は,2,037万人(前年度13.2%増),151億650万人キロ(同14.0%増)となった。営業収受については,営業収入が2,655億3,800万円(前年度比14.5%増)であったのに対し,営業費用は,2,564億900万円(同15.7%増)となり,経常利益は95億2,000万円(同1.0%減)を計上した。
東亜国内航空の旅客輸送量は675万7,000人(前年度比16.6%増),32億3,000万人キロ(同22.0%増)となった。営業収入は,693億1,700万円(前年度比21.3%増)となったのに対し,営業費用は647億2,500万円(24.3%増)となり,経常利益は24億6,000万円(同26.5%減)を計上した。
南西航空は,52年度に引き続き好調に推移し,53年度の経常利益は3億2,300万円となり,また,日本アジア航空も,15億3,500万円の経常利益をあげるに至った。
一方,日本近距離航空は,営業収入面で改善が図られたものの,経常段階では引き続き赤字を計上した。
国内航空運送事業の最近5年間の利益率の推移は 〔III−13図〕のとおりであるが,53年度は減価償却負担の増加及び航行援助施設利用料,特別着陸料の値上げ等もあり,売上高営業利益率,売上高経常利益率は,それぞれ3.4%,3.0%となり,若干低下した。
(2) 離島辺地輸送対策
ア STOL機購入費補助
47年度より,離島における空港の利用及び整備に資するため,離島に就航するSTOL機(短距離離着陸機)の購入に要する費用の一部を空港整備特別会計から補助する制度が設けられている。
イ 離島航空路に係る普通着陸料及び航行援助施設利用料の割引制度
離島航空路が採算の悪い路線であることに鑑み,離島航空の割高なコストを軽減し,その維持確保を図るため,54年度よりYS-11型機又はSTOL機を使用して離島航空路を運航する場合,普通着陸料及び航行援助施設利用料を割り引く制度(YS-11型機は1/2,STOL機は3/4を割り引く)が設けられた。
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