6 今後の内航海運
内航海運は,我が国産業の基礎物資である鉄鋼,石油,石炭,石灰石等の大量貨物の輸送の大部分を分担し,我が国経済において重要な役割を果たしている。
また,内航海運は,エネルギー効率に優れ,更に単位輸送量当たりの労働力も少なく,道路等に比べて国土空間の利用上制約の少ない海路を利用するものであり,環境保全の点でも有利である等の特性を有し,これらの面からみても,将来とも産業基礎物資の輸送を担うに適した輸送機関であると考えられる。
内航海運が今後も重要な役割を果たしていくためには,昨今の燃料油の供給不安定化,価格の高騰,高粘度化に対応しつつ,船舶の近代化,企業経営の合理化,配船,運航の効率化を一層進めるとともに,内航船員の高齢化に対処し優秀な若年労働力の確保に努めることが必要である。
また,石油供給の不安定化,高価格化に伴う代替エネルギー導入策として海外炭の輸入の大幅拡大の計画コールセンター構想等が検討されており,海外炭の開発・輸入,国内貯炭,輸送等,いわゆるコールチェーンの形成に伴って大量に発生が予想される国内二次輸送需要に円滑に対処する体制の確立が重要な課題となっている。
海外炭の二次輸送については,37年度から43年度にかけて当時の国内炭5,500万トン出炭体制に対応するために整備された石炭専用船の処遇及び一般貨物船が過剰状態にあること等を勘案しつつ,内航海運全体として最も公正かつ適切な受入体制を検討する必要がある。
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