第2節 港湾管理者財政基盤の強化
港湾管理者財政ひっ迫の原因を歳入歳出のそれぞれについて考えると,歳入面では,港湾管理者の提供する個々の施設又は役務の対価としての港湾施設使用料及び役務利用料が公共性を理由に収支相償うような水準に設定されていないことがあげられ,歳出面では,防波堤,航路,道路等の非収益施設が多いうえに,汚泥浚渫等の公害防止又は環境保全のための事業が増大しているほか,港湾に対する投資自体が大規模化していることがあげられる。
このような実情に対処し,港湾管理者の財政基盤を強化するため,入港料の料率改定等の施策が講じられてきている。
入港料は昭和52年1月主要港において徴収が開始されたのをはじめとして,55年7月31日現在,116港(特定重要港湾17港,重要港湾54港,地方港湾45港)で徴収されている。55年3月には,認可対象港湾17港のうち主要8港を含む12港の港湾管理者」から入港料率改定の認可申請が行われ,4月8日,東京,川崎,横浜,名古屋,大阪,神戸,下関,北九州,千葉,四日市,堺泉北の各港について15%(55年度は5%),室蘭港について12.5%(55年度は6.25%)料率をアップする旨の改定が認可され,5月1日から実施された。
次に,港湾区域及び臨港地区内に立地する一定の事業者に港湾における環境の整備及び保全に要する費用の一部を負担させる制度である港湾環境整備負担金について,主要8港の港湾管理者と支払者である関係業界との調整がつき,東京,川崎,横浜,名古屋,大阪,神戸及び北九州の各港湾管理者において,徴収のための条例が制定された。同条例は55年4月1日から施行され,55年度工事分から徴収されることとなった。
更に,岸壁使用料等についても,主要8港において55年5月又は6月から料率の改定が行われた。
港湾管理者財政基盤を強化するためには,今後とも,入港料及び港湾環境整備負担金を徴収していない港湾における徴収の実現,既に徴収している入港料,係留施設使用料の料率の見直し等がなされる必要があると考えられる。
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