3 開港2周年を迎えた新東京国際空港


  新東京国際空港は,関係各方面の協力を得て53年5月20日に開港され,以後順調に運営されてきた。

(1) 運用状況

  新東京国際空港は,4,000メートル滑走路とこれに附帯する誘導路,エプロン,ターミナル等で運営され,国際線定期航空会社では日本企業2社,外国企業33社が乗り入れ,1日当たり約180便の航空機が離発着し,開港以来2年間の利用旅客数は,延べ約1,560万人(1日当たり約2万1千人)にのぼっている。また,貨物輸送量は,84万トンとなっている。
  更に,乗継ぎ便として国内線も運航され,札幌,名古屋,大阪,福岡を結んで1日14便が運航されている。
  空港と都心を結ぶアクセス輸送も,国鉄,京成電鉄,リムジンバス等により順調に行われている。

(2) 航空燃料の輸送

  新東京国際空港への航空燃料の輸送は,長期的には本格パイプラインを建設し,これにより輸送することとしているが,当面は,千葉港及び鹿島港から成田市土屋まで鉄道により輸送し,土屋から空港まで暫定パイプラインによって輸送している。
  鹿島港からのいわゆる鹿島ルートにおいては1日5列車,千葉港からのいわゆる千葉ルートにおいては1日2列車がそれぞれ運行され,1日当たり最大輸送量は5,500キロリットルとなっている。

(3) 騒音対策

  新東京国際空港周辺における航空機騒音対策については,従来から,公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(以下「航空機騒音防止法」という。)に基づき,民家の防音工事(1室又は2室)の助成,学校,病院等の防音工事助成,移転補償等の施策を実施してきたが,開港後,更に騒音荷策の充実,強化を図り,いわゆる民家の全室防音工事に着手するとともに,54年7月には,航空機騒音防止法に基づく第1種区域をWECPNL80の範囲まで拡大した。

(4) 農業振興策

  空港と調和のとれた周辺地域社会を実現するための地元対策の一環として,新東京国際空港周辺地域における主要産業である農業の積極的な振興を図ることを目的とした「新東京国際空港周辺地域における農業振興のための基本となる考え方」について,53年12月1日,運輸大臣が閣議報告を行った。
  その主な内容は,@成田用水事業の受益対象区域の拡大による農業生産基盤の整備,A空港周辺地域において,新東京国際空港公団が騒音対策として買い上げた土地の成田用水事業への参加及び農業関係団体等への貸付け等である。
  現在,この閣議報告の趣旨に沿い,千葉県等の協力を得つつ農業振興策の具体化を図っている。

(5) 新東京鼠際空港公団法の一部改正について

  55年1月8日,新東京国際空港公団法の一部を改正する法律が公布施行された。
  同法は,53年5月20日開港した新東京国際空港の円滑かつ効率的な運営を確保していくためには,新東京国際空港公団が行う事業と空港関連事業者が行う事業が一体となって行われることが必要であることにかんがみ,同公団がこれらの事業に対し投資することができることとすることを主たる内容とするものである。
  同法の成立により,新空港の開港前から地元芝山町等から強く要望のなされていた空港-芝山町間の鉄道事業について,同公団がその事業主体となる第3セクターに対し投資することができることとなり,その実現に向って大きく第歩を踏み出した。


表紙へ戻る 次へ進む