第9章 総合安全保障への対応

  昭和48年と53年末からの2次にわたる石油危機は,海外から我が国の国民生活を脅かすものが軍事的脅威の他にもありうることを認識させた。そして,我が国の安全と国民生活の安定のためには,防衛力の面だけでなく,平和外交,国際協力,エネルギー・食糧等に関する経済政策や輸送の確保等広く総合的な施策が必要であると認識されるようになった。このため,55年12月,経済,外交等の諸施策のうち安全保障の視点から総合性及び整合性を確保するうえで関係行政機関において調整を要するものについて協議するため,内閣に内閣官房長官,外務大臣,大蔵大臣,農林水産大臣,通商産業大臣,運輸大臣,防衛庁長官,経済企画庁長官及び科学技術庁長官を構成員とする総合安全保障関係閣僚会議が設置された。
  運輸部門は,国の経済活動や国民の日常生活の基盤とも言うべき重要な役割を果たしており,海外との安定的輸送,資源の受入れ及び備蓄,国際協力や国際観光,更には大規模災害等の緊急時における交通の確保等,我が国の総合安全保障と幅広い係りを有している。56年7月に出された運輸政策審議会の「長期展望に基づく総合的な交通政策の基本方向」に関する答申においても,総合安全保障の確保に関する運輸の役割の重要性が指摘され,今後引き続き検討を行う必要があるとされた。このため,同審議会にその検討の場として新たに「総合安全保障部会」が設置され,56年11月,第1回総合安全保障部会が開催された。


1 海上における安定輸送の確保

2 エネルギー等重要資源の受入れ,備蓄体制の強化

3 良好な国際環境の形成

4 大規模災害等緊急時対策


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