2 トラックステーションの整備等
トラックを始めとする自動車の運転者の労働時間の改善は,労働者の福祉の向上,過労運転による交通事故の防止等の観点から極めて重要な課題である。
このため,54年12月労働省から「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」(いわゆる新2・9通達)が発せられ,自動車運転者の労働時間等についての新たな基準が設けられたが,労働時間の改善を図るためにはトラック運転者の休憩施設を建設する等の環境整備が必要である。
トラック業界においては,営業用トラックの輸送力の確保,輸送サービスの改善,安全運行の確保等に資するために創設された運輸事業振興助成交付金による事業の一つとして,トラック運転者の休憩・仮眠・食事等のための総合的施設であるトラックステーションの整備を進めている。現在までに,浜松市(国道1号線沿い),福島市(国道4号線沿い),北九州市(国道199号線沿い),尾道市(国道2号線沿い)の4か所において供用されており,更に,このほか全国で10か所において建設が計画されている。また,交付金を活用した保養所・運行管理センター等の施設整備も進んでいる。これら施設の建設管理は,これまで社団法人全日本トラック協会が主体となって行っていた。しかし,同協会は,本来,トラック運送事業の社会的・経済的地位の向上及び会員相互の連絡協調の緊密化を図ることを目的とする社団法人であるため,これらの施設を効率的に建設管理するためには,これらの業務を専門に担当する別法人を設立した方が適切と考えられ,56年4月30日財団法人貨物自動車運送事業振興センターが設立された。
なお,交付金を活用した事業としては,上記のトラックステーション等の施設の整備のほか,トラック運送事業の近代化,合理化等のための低利融資事業,輸送情報ネットワークの確立のための事業,交通安全対策,環境対策等の事業が実施されており,交付金はトラック運送事業の健全な発展に大きく寄与している。
|