3 地震・火山業務の強化


  気象庁は,日本及びその周辺に発生する地震を常時監視し,適時に地震情報を発表するほか,津波のおそれがある場合は,津波注意報,津波警報を発表して災害の防止軽減に努めている。また,関係省庁,大学の地震予知に関する情報交換,総合判断の場である地震予知連絡会及び地震予知実用化のための研究・観測についての行政機関の協議の場である地震予知推進本部のメンバーとして関係機関と協力し,地震予知計画の推進に取り組んでいる。特に,大規模地震対策特別措置法に基づき地震防災対策強化地域に推定されている東海地域及び地震予知連絡会で観測強化地域として選定されている南関東地域については,地震,地殻岩石の歪等の観測データをテレメーターし,常時監視を行っている。更に,東海地域に係る大規模な地震の発生のおそれに関する判定を行うため,気象庁に「地震防災対策強化地域判定会」を発足させている。
  55年度においては,南関東地域6か所に地殻岩石の歪計を整備し,常時監視体制を強化するとともに,大・中・小地震を対象とする全国の地震観測施設のうち,直視式電磁地震計11台の改良更新を行った。また,地震観測所(長野県松代)の水管傾斜計及び地磁気観測所鹿屋出張所(鹿児島県)のプロトン磁力計の改良更新を行った。
  火山については,気象庁は全国で17の主要火山を対象に常時観測を行い,その他の火山については,火山機動観測班によって定期的な調査観測を行い,また,異常時には緊急出動して観測を行い,これに基づいて火山情報を発表している。特に,活動火山対策特別措置法の規定により,火山現象による災害から国民の生命及び身体を保護するため必要と認められるときは,都道府県知事に火山現象に関する通報を行うことになっているが,これには「火山活動情報」の通報により対処している。
  55年度においては,雌阿寒岳の普通火山観測施設の改良更新及び桜島の精密火山観測施設の強化を行うとともに,東北地方を対象とする火山機動観測班を新設するなど,火山観測体制の強化を図った。なお,火山噴火予知については,その研究を推進するとともに,火山噴火予知連絡会の事務局として関係機関と協力し,火山噴火予知計画を進めている。


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