II-(III)-2 港湾管理者財政
1 港湾管理者の財政状況
港湾管理者の財政は,港湾の管理運営に要する費用(以下「管理費」という。),港湾施設の建設又は改良に要する費用,公債償還費,その他の費用からなる歳出を,施設使用料,役務利用料,水域占用料等(以下「港湾収入」という。)及び港湾工事のための国庫補助金等からなる歳入により賄い,歳入が不足する場合は,一般財源又は公債により補てんされている。
港湾管理者の会計を官庁会計方式によりみてみると,昭和55年度の重要港湾について,港湾収入により管理費が賄われている港は,港湾収入のある123港のうち77港にすぎず,管理費に公債償還費を加えた額については,わずか4港が賄えているにすぎない状況にある。
港湾管理者財政の損益の状況を明らかにするため,企業会計方式によって試算してみると,55年度では65港において港湾経営収益(施設使用料及び役務利用料による収益をいう。以下同じ。)が管理費を上まわっているものの,管理費に減価償却費を加えた港湾経常費用と港湾経営収益とを対比した経営損益で,利益を計上しているものは23港にすぎない。更に港湾経営費用に営業外費用(公債利子)を加えた経常費用と港湾経常収益を対比した経常損益でみると,利益を計上しているのは1港にすぎず,収支比率は約223となっている。
2 港湾管理者の財政基盤の強化
港湾管理者の財政基盤を強化するために,入港料率改定,施設使用料等の料率改定,港湾環境整備負担金の徴収などの各種施策が講じられてきている。
入港料は,昭和52年1月主要港において徴収が開始されたのを始めとして,57年8月1日現在117港(特定重要港湾18港,重要港湾55港,地方港湾44港)で徴収されている。認可対象港湾で最近料率改定を行ったのは,東京,川崎,横浜,名古屋,大阪,神戸,下関,北九州の主要8港と室蘭,苫小牧の計10港であり主要8港については約8.7%,室蘭及び苫小牧港については約11.1%の料率を引上げる改定が認可され,57年5月1日から実施された。
また,岸壁使用料等についても主要8港において,57年5月に料率の改定が行われた。
次に,港湾区域及び臨港地区内に立地する一定の事業者に港湾環境整備に要する費用の一部を負担させる制度である港湾環境整備負担金については,主要8港のうち下関港を除く7港において徴収のための条例が制定され,55年度工事分に係る負担金の徴収を56年度に行ったところである。
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