3 気候変動対策等


(1) 気候変動対策

  (検討進む気候変動の原因と影響)
  世界各地の社会・経済が気候変動に大きく左右されることから,国連の要請に応えて54年4月,世界気象機関(WMO)総会は世界気候計画(WCP)を採択し,加盟国や関係国際機関と協力して進めることを決議した。こうした動きと並行して,世界各国は気候変動対策に積極的に取り組んでいる。
  我が国においても,気象庁は54年10月以来,各分野の学識経験者及び関係省庁の職員からなる気候問題懇談会を開催し,気候変動の原因と影響について学際的に検討を進めている。さらに,総合的に気候問題に取り組むため,56年4月に気候変動対策室を設置し,同年6月に気候変動対策基本計画を定めた。
  この基本計画に基づいて,気候情報の行政への利活用を図るため,気候変動対策関係省庁連絡会を随時開催している。また,気候資料の有効利用を図るため,気候データベースの検討,気候変動の影響調査等を推進した。57年度には資料検索のための気候資料利用案内書を作成するとともに,大阪など6府県における異常天候の地域産業に及ぼした影響について実態調査を行った。さらに,気候研究基本計画を策定し,異常天候の機構の解明,気候の長期予測技術の開発,海洋の変動機構と気候への影響,人間活動の気候への影響評価など研究の推進を図ることになった。これら気候変動対策の国際協力による推進の一環として,国際衛星雲気候計画に積極的に参加し,同計画を推進している。

(2) 気象改変に関する長期的な対応

  (気象審議会が具体的施策を答申)
  気象庁長官から「気象改変に関する長期的な対応について」諮問を受けた気象審議会は,気象改変部会を設けて検討を行い,58年3月に答申を行った。答申では,気象改変を意図的なものと非意図的なものに大別し,気象改変技術の現状,社会的側面等を検討した上で,具体的な施策として人工降雨,台風制御などの意図的な気象改変については,技術の現状に照らして,当面降水の機構,台風や豪雨雪の機構の解明など研究開発を中心に推進すべきであること,また,人間活動が非意図的に気候に与える影響に関しては,気候に影響する大気中の微量成分等の定常観測を強化すべきであること等を提案した。


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