2 空港整備特別会計の財源確保の方策
(空整特会の現状と問題点)
現在空整特会は,空港使用料収入を始めとする当該年度の収入を財源としつつ運営されており,その歳入及び歳出の推移は 〔2−2−10図〕のとおりであるが,近年その収支状況は極めて厳しいものとなっている。
その原因としてまず考えられることは,近年の需要の低迷等を反映して空港使用料収入が伸び悩みをみせていることである。しかしながら,現在,航空会社の経営は極めて厳しく,従来のような空港使用料の大幅な引上げを行うことは極めて困難な情勢にあり,また,空港使用料の引上げは航空運賃の改定,ひいては需要の減退につながるおそれが大きいことからも慎重に対処する必要がある。
第2の原因として挙げられるのは,通行税(航空分)の取扱いである。
通行税自体は一般税であり,一般会計の歳入とされているものであるが,一般会計から空整特会に繰り入れられている一般財源は従来は航空旅客の支払う通行税収に見合う額となっていた。しかしながら,55年度以降厳しい国家財政事情を反映して一般会計受入れ枠に極めて厳しいシーリングが設定されたため,一般財源として繰り入れられる額は,通行税(航空分)の税収を下回る事態となっている。
(財源対策)
他方,空整特会の歳出面については,空港整備事業が今後数年間にピークを迎える予定であり,関西国際空港の建設,新東京国際空港の整備及び東京国際空港の沖合展開の推進とともに,就航機材のジェット化,大型化等に対応するための一般空港の整備等について多額の資金需要を必要とすることになる見込みである。したがって,所要の空港整備事業を円滑に推進していくためには何らかの財源措置を講ずる必要があるが,これらの措置を講ずるに当たっては,空港整備事業の成果を享受する世代間の負担の公平化を図ること,空港整備による空港使用料等の歳入の増加は将来の空整特会の収支に寄与すること等を考慮するとともに,受益者負担の原則の一層の明確化を図る必要がある。
|