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1 都市鉄道の整備都市における鉄道については,都市交通審議会及び地方陸上交通審議会(いずれも改組前)の答申等に基づき,輸送需要の増大等に対応して逐次ネットワークの整備を図るとともに,輸送サービスの質的向上に努めている。 まず,大都市圏においては,人口の外延化の進展や都市再開発,住宅団地建設等の都市開発計画の進捗に対応して,新線建設,複々線化等により輸送力の増強を図っている。 また,地方中枢・中核都市等においては,新駅の設置,列車の増発等により既存鉄道の有効利用を図るとともに,相当量の輸送需要が見込まれる場合には,軌道系の中量輸送機関の導入について検討を行うこととしている。 さらに,都市鉄道の輸送サービスの質的向上を図る観点から停車場の整備,車両の近代化等の対策を推進している。 (国鉄線の整備) 国鉄の設備投資については,安全確保のための投資に重点を置き極力抑制してきているが大都市圏のラッシュ対策等緊急を要するものについては,重点的に投資を行っている。新線の建設としては通勤別線赤羽・大宮間(18キロメートル),京葉線東京・蘇我間(46キロメートル)等の工事が進められている。 (地下鉄線の整備) 地下鉄については,巨額の投下資本を要するため,その新線建設や大規模改良に対し,国及び地方公共団体からの補助を行うことにより,整備を促進している。現在,帝都高速度交通営団及び8都市(東京都,札幌市,横浜市,名古屋市,京都市,大阪市,神戸市,福岡市)において地下鉄の運営が行われており,さらに,これらの事業者及び仙台市において建設工事が進められている。 (日本鉄道建設公団による鉄道の整備) 日本鉄道建設公団においては,前述の国鉄京葉線等の工事を進めているほか,大都市において,輸送力増強効果が大きくしかも緊急に整備することを要する地下鉄及び地下鉄直通都心乗入れ工事,既設線の複々線線増工事並びにニュータウン線建設工事について完成後民鉄事業者に譲渡する方式による整備を進めている。 これまでの譲渡の状況をみると,49年5月に,小田急多摩線が譲渡されたのをはじめとして,既に10線53.9キロメートルが譲渡されている。また,現在工事中のものは12線99.8キロメートルとなっている。 (モノレール,新交通システムの整備) 近来,鉄道駅と住宅地等を結び,鉄道の補完的輸送を担う中量軌道系輸送システムとして,モノレール及びいわゆる新交通システムが整備されてきている。 新交通システムとしては,56年2月に神戸新交通(株)ポートアイランド線が登場して以来,大阪市交通局南港ポートタウン線等が建設され,開業している。さらに,工事中のものとして,桃花台新交通(株)桃花台線(愛知県小牧市)等があり,また,59年4月には横浜新都市交通(株)金沢シーサイドラインを特許した。 また,モノレールは,東京モノレール(株)羽田線等5路線が営業中であり,このほか北九州高速鉄道(株)小倉線等3線の工事が進められている。 (都市鉄道のサービス改善) 都市における鉄道については,国民の生活水準の向上に伴い,今後は輸送サービスの量的側面のみならず,快適性,利便性といった質的側面の向上を図っていくことが必要となっている。 国鉄においては,東京・大阪地区での列車の長編成化,通勤時間帯を中心とする増発,名古屋,福岡等の都市圏での高頻度,等時隔,短編成の列車設定等の輸送改善を行うとともに,車両の冷房化等のサービス改善に努めている。また,民営鉄道においても,列車の長編成化,複々線化等の輸送力増強による混雑の緩和を図ることはもとより,車両,駅舎等の冷房化に努めており,政府としてもこのために必要な資金を確保するため,日本開発銀行による融資を行っている。 このうち,車両の冷房化についてみると, 〔2−3−1図〕のとおり,58年度で,東京・大阪地区の国鉄の冷房化率が73.0%,大手民鉄14社合計の冷房化率が74.3%となっており,ともに54年度に比べて20%程度の大幅な向上を示している。 また,駅舎等の施設の改善については,国鉄及び民営鉄道各社において,その経営状況をも勘案しつつ,計画的にホーム屋根,エスカレータ一等の整備を図り,利用者の利便の向上に努めている。特に,高齢者,身体障害者の移動の利便性を確保し,これら交通弱者の社会参加の推進を図る観点から,車椅子通路,誘導ブロック,身障者用トイレ等の施設の整備を順次進めている。 (移動の連続性の確保)
さらに,国鉄及び民営鉄道においては,特に複数の経営主体の鉄道が相互に接続してネットワークを形成している都市部を中心として,利用者の移動の連続性を確保するため,列車の相互直通運転や乗継運賃制度の導入を図っている。最近では,58年3月に国鉄と福岡市地下鉄の間,58年10月に営団地下鉄と西武鉄道の間でそれぞれ相互直通運転が開始されており,また,59年1月の大手民鉄12社の運賃改定を契機として,三大都市圏の国鉄,大手民鉄各社等の間で乗継運賃制度の導入が図られた。
しかしながら,大都市及びその周辺地域においては,近年,@人口の集中に伴い鉄道整備に必要な用地の取得が難しくなっていること,A都市空間の有効利用,輸送の安全確保等の観点から,地下または高架式による鉄道の整備が大勢を占め,その建設費が膨大なものになっていること,B環境問題等のため沿線住民の協力が得られにくくなっていること,C国,地方公共団体における財政の窮迫により助成が伸び悩んでいること等,様々の理由により計画通りの鉄道整備を図ることは困難になってきており,未だその整備水準は十分なものとは言えない。
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