4 大規模プロジェクト
(資本費の取扱いが検討課題)
青函トンネルについては,58年1月,本工事着工から11年余りをかけて先進導抗が貫通し,62年度には工事が完成し北海道と本州が陸続きになるという国民永年の夢が実現する予定であるが,その建設に要した費用を40年間元利均等償還方式で返済し,かつ開業後助成がないこととした場合には,毎年800億円を超える貸付料になると試算され,国鉄の経営に大きな影響を与えるものと予想される。
また,本州四国連絡橋については,児島,坂出ルート(本四備讃線)の建設が62年度完成を目途として進められているが,完成後の利用料は毎年500億円を超えるものになると試算されている。
これらの貸付料及び利用料の問題については,臨時行政調査会の第3次答申において「分割会社(国鉄)の経営を圧迫しないよう国は措置(財源措置を含む。)する。」とされており,現在,国鉄再建監理委員会において審議されているところであるので,運輸省としてはその結論を得て適切に対処していくこととしている。
なお,青函トンネルについては,同トンネルが国民全体の財産であり,国家的見地から有効な活用を図る必要があるとの観点から,58年3月,運輸大臣の私的諮問機関として民間有識者からなる「青函トンネル問題懇談会」が設置され,59年4月回懇談会の報告が提出された。この報告では青函トンネルの有効利用方法として,在来線のみの運行と,これに加え,区間や軌間の異なる三類型のカートレーンの運行の合計4つの選択肢が示されている。運輸省としては,この報告を踏まえ,同トンネルの有効な利用を図る観点から関係省庁とも連絡をとりつつ,カートレーンを中心に需要及び採算性の見通し,運営主体の具体的在り方等につき検討を進めることとしている。
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