5 最近の輸送動向(63年4月〜7月の実績)
(1) 国内旅客輸送の動向
(JR(旅客)は堅調に推移)
JR(旅客)は,63年4月〜7月までの輸送人員は,対前年同期比5.6%増と堅調に推移している。特に,JR北海道,JR四国において,青函トンネル及び本州四国連絡橋の開業に伴う旅客の増加がみられ,定期旅客は同5.3%増,定期外旅客は同6.3%増となった 〔9−1−32表〕。
(民鉄は緩やかな増加傾向を維持)
民鉄は,前年同期比2.6%増と緩やかな増加傾向を維持している。このうち,定期旅客は同2.5%増,定期外旅客は同2.8%増となっている。
なお,大手民鉄(14社)については,同1.8%増であるが,関東圏7社が同2.9%増と好調であるのに対し,関西圏5社は同0.2%増と低調であり,東西間の格差が顕著となっている。
(東京のバスはほぼ横ばい)
東京のバスは,6,7月の長雨の影響注1)で全体的に乗客は増加したが,都営バス等の路線再編成による減少が大きく,前年同期比0.1%減とほぼ横ばいに推移した。
なお,高速バス(12系統対象注2))は,全体的には好調に推移しているが,一部の路線においては,鉄道との競争により輸送人員が減少しているところがある。
(東京タクシーは,輸送人員は横ばいだが,収入は増加)
東京のタクシーは,輸送人員は前年同期比0.4%増と横ばいに推移しているが,深夜の乗客は増加している。
(好調を続ける国内航空)
航空は,本州四国連絡橋の影響で大阪〜四国間の乗客が減少したことや,夏場の天候不順の影響等があったものの,前年同期比6.3%増と順調な伸びを示している。
(2) 国内貨物輸送の動向
(JR(貨物)は順調)
コンテナは,青函トンネル,本州四国連絡橋の開業も影響し,米,酒ビール,紙パルプ,路線貨物の増加が目立っており,その他も好調に推移し,前年同期比20.9%増と大幅な増加となった。車扱は,炭坑の閉山の影響で石炭が,また,石灰石輸送が一部自動車輸送に切り替えられこたことにより石灰石が大幅に減少したこと等により,同5.5%減と減少した。全体では,コンテナの増加が著しく大きかったので,同1.0%増と増加した 〔9−1−33表〕。
(路線トラックは堅調を維持)
路線トラックは,6,7月の天候不順の影響で青果物(ぶどう,もも等)の荷動きが悪かったが,日用品,食料工業品,金属製品,宅配貨物等内需関連の貨物が好調に推移し,前年同期比11.2%増と好調を持続している。
(内航海運は好調)
油送船は,トラック輸送が好調であったこと等により白油が,電力需要の増加等により黒油が順調に増加し,さらに,63年8月1日から石油税が従価税から従量税に移行して負担増となるため,6月,7月は,かけ込みで輸送量が増加したこと等により,前年同期比9.8%増となった。
貨物船は,石炭,砂利・砂・石材,鉄鋼等の内需関連貨物が好調に推移したために同9.1%増となった。
(航空は好調を持続)
航空は,東京発の一般雑貨,福岡発の果実等が増加し,前年同期比10.0%増と依然として好調を持続している。
HR
注1) 雨が降ると通勤,通学時等に路線バスを利用する乗客が増加すること
注2) 東京〜弘前,大阪〜福岡,東京〜大阪,東京〜名古屋,東京〜新潟,大阪〜米子,東京〜飯田,名古屋〜金沢,東京〜甲府,東京〜つくば,盛岡〜弘前,福岡〜熊本
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