中央省庁等改革を機会に、政府全体において、各府省が所掌する政策について自ら評価を行うことを基本として、政策評価の導入が図られることとなった。
政策評価については、これまでも公共事業、研究開発の分野において取り組んできた。それ以外についても、新規予算要求、各種の行動計画や5ヶ年計画の策定、新規立法や法律改正等を行う際には、その施策等の効果や数値を含む政策目標の設定などの取り組みを行ってきた。今般導入しようとする政策評価制度は、このような取り組みを、国土交通行政の幅広い分野に広げ、新たに制度として体系化しようとするものである。
政策評価を積極的に取り入れることにより、「政策の企画立案→実施→評価→政策の改善」という政策のマネジメント・サイクルを確立することができる。具体的には、政策の企画立案過程と結果に関する透明性を向上させ、政策の意図と効果を国民に対して明確に説明するほか、設定した目標を実現するための努力を尽くすことにより、政策の質を高めることができるようになる。政策評価の導入は、こうした国民の立場に立った、省全体としての総合的な行政マネジメントの確立をめざすものである。
北海道開発庁、国土庁、運輸省、建設省の4省庁では、来年1月の国土交通省への再編に先立ち、国土交通行政の使命と基本的な方針について検討を進めているが、政策評価はこの使命と基本的な方針に照らして行われることになる。こうして、国土交通省として、総合的・戦略的な施策展開を図ることが可能になる。
国民生活に直結する幅広い行政分野を担当し、また公共事業の多くを担当することになる国土交通省においては、政策評価を活用して、国民本位で効率的な質の高い行政を実施することによって国民に対する責任を果たしていかなければならない。また、こうした考え方を職員一人ひとりのものとしていかなければならない。目標を持った行政運営、政策のマネジメントサイクルの確立が、職員の意識の向上を通じた組織の活性化につながるよう、政策評価を前向きなものとして捉え、導入していきたい。
国土交通省が実施することになる政策評価についての詳細な内容及び手続は、年内に作成する「実施要領案」において記述することになるが、この文書は、国土交通省における政策評価のあり方について、現時点での考え方を明らかにするものであり、国民各位に幅広くご意見を求め、今後の実施要領案策定作業の基礎とするためのものである。
なお、本文書作成にあたっては、これまで3回にわたって開催した「国土交通省における政策評価のあり方に関する懇談会」(座長:金本良嗣東京大学教授)における委員各位の貴重なご意見を参考にさせていただいた。
今般の中央省庁等改革で導入することとされた政策評価は、政策を担当する行政庁がその政策について自ら行う評価を基本としている。国土交通省においては、このような政策評価を導入するにあたって、以下の目的を達成することをめざす。
※ (1)公共事業等の評価のうち、研究開発課題の評価については、事前、中間、事後評価を既に実施中。