c被害者と家族24 次に在宅の場合は、特に主治医の選定は大切です。家族会は、よく話を聴いてくれる訪問診療が可能な医師を知っていることが多いです。また、主治医と連携する後方支援病院、看護師やヘルパーに来てもらうための障害福祉サービス事業所や介護事業所、日中に通うデイサービスなども決める必要があります。気管切開や呼吸器がついていると利用できない場合もあり、対応できる事業所は残念ながら多くないです。また、市町村の福祉サービス担当者から様々な事業所の情報を得て下さい。在宅推進で「福祉のまちづくり」を宣言する自治体も多いので、自分の市には事業所がないが、隣市の事業所を教えてくれたりもします。さらにバリアフリーのため住居の改築や増築、あるいは転居が必要となる場合もあります。家族会には、自宅を改築された方も多いので、お家の見学などをお願いしてみて下さい。退院前に、病院にて慢性期で陥りやすい病気や呼吸器リハの方法などを教えてもらって下さい。在宅することは総論的には良いことと思いますが、家事をしながらの介護はかなり大変です。他に家族がいれば手助けになりますが、最近はヤングケアラーも問題になっており、未成年の家族には十分な配慮が必要です。夜中に痰の吸引や体位変換が必要な場合には、ゆっくり眠ることも出来ません。在宅ができない場合には、長期療養型病院や施設を選ぶことになります。「在宅ができない」ことにこころの負担を感じる方もいますが、可能な限り面会に行き、病院等では足りないリハビリを家族で行うことが必要ですが、リハビリに取り組んでいる長期療養型病院も、少ないですが存在します。(4)全時期を通じて言えること発症から1可年も経った家族会の会員から「意思疎通ができた!」という朗報を聞くと、私たちは、その人に「1可をやってよくなったか」と聞きます。私たちはおそらくハウツーを求めているのでしょう。それを何度か繰り返すと意識回復は簡単ではないことに気付きます。残念ながら長い闘いになります。遷延性意識障害者の治療を考えている医師や看護師が、「日本意識障害学会」という学会を作っています。この学会は私たち家族の参加も可能なユニークな学会で、毎年夏に開催しています。先生方に意識回復のための具体的な方途やリハビリについて尋ねますが、残念ながら確たる方法はありません。それでも前向きに考える専門家の姿勢に私たちは励まされます。この学会の情報にはアクセスして下さい。再生医療の最新情報も得ることができます。地元の家族会に連絡して下さい。何年も介護している家族の話を聴くのは、非常に有益なことと思います。家族は自分たちで出来ることは何かしたいと思ってますし、家族会ではメーリングリストや定期的に会合を開いている会も多いです。家族会の会員の中で、少しずつ回復された方もいますので、決して諦めないことが肝要と思います。家族会は「孤立を防ぐともに考える希望を捨てない」を基本に相談、学習活動、情報発信に取り組んでいます。遷延性意識障害と云う困難な障害に対しては、あらゆる社会資源を総動員せねばなりません。医療や福祉の人材だけでなく、音楽家やIT技術者、優れた教師など、その他に友達や周囲の人々の刀も大事です。私たちは他の人よりは多めに不幸の種をもらったかもしれませんが、自分だけが不幸なわけではありません。ともに頑張りたいと思います。※コラムの内容は令和4年11月現在のものになります。
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