医療機関
交通事故にあったら、医療機関等を利用することとなりますが、病院(又は病棟・病床。以下同じ。)によって、それぞれ役割がありますので、各病院で行うべき治療等が終われば通常は退院・転院することとなります。特に重傷を負われた方は、急性期〜回復期〜慢性期と時間的な経過とともに病院等を転院していくこともあります。
また、出血を伴った負傷等がない場合であっても、頭部外傷等により高次脳機能障害※が残ったり、脳脊髄液減少(漏出)症※を発症することもあるため、心当たりがある場合には、早めに専門医療機関へ相談しましょう。
急性期病院
交通事故にあったら、医療機関等を利用することとなりますが、病院(又は病棟・病床。以下同じ。)によって、それぞれ役割がありますので、各病院で行うべき治療等が終われば通常は退院・転院することとなります。特に重傷を負われた方は、急性期〜回復期〜慢性期と時間的な経過とともに病院等を転院していくこともあります。
回復期リハビリテーション病院
命の危機を脱した後、集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻ることを目的とした病院です。
慢性期療養型病院
病状は比較的安定しているものの、治療が困難な状態が続いている時期に再発予防や身体機能の維持・改善を目指しながら、長期的な看護、治療を行う病院です。
精神科病院
精神疾患を有する方が利用する病院です。交通事故の場合、身体的障害だけでなく、頭部外傷による高次脳機能障害※が残り、精神疾患を負う場合があります。
(参考) ※高次脳機能障害とは、外傷性脳損傷などの後遺障害として記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などを伴う障害です。具体的には、以前と比べて忘れっぽい、落ち着きがない、ぼーっとしているなど症状は様々ですが、外見からは分かりにくい障害であり、事故からしばらくして日常生活に戻った頃に症状が出ることもあります。
詳しくはこちらをご覧ください。
※脳脊髄液減少(漏出)症とは、脳脊髄液の漏出により、頭痛、めまい、吐き気、倦怠感などの様々な症状が現れる病気です。現在、医学的な研究が進められているところですが、H28.4 に保険適用となったブラッドパッチ療法や水分補給、安静にすることが有効な治療法だと言われています。
詳しくはこちらをご覧ください。
医療ソーシャルワーカー(MSW)
病院には、医療ソーシャルワーカーという専門職が「医療相談室」や「地域連携室」等(病院によって呼称は様々)に配置されている場合があります。医療ソーシャルワーカーは、病院の患者やご家族の心理的・社会的・経済的問題の解決の支援や退院(転院)、社会復帰の支援などを行います。医療ソーシャルワーカーへ相談することによって、問題解決の糸口につながります。
療護(りょうご)センター
自動車事故により脳損傷を生じ、重度の意識障害が継続する状態にあり、治療と常時の介護を必要とする方に入院していただき、社会復帰の可能性を追求しながら適切な治療と看護を行う重度後遺障害者(遷延性意識障害者)専門の療護(りょうご)施設(NASVA療護センター及びNASVA委託病床)が、NASVAにより、全国7か所に設置・運営されています。
これらの療護施設への入院期間は概ね3年以内とし、入院の承認は、治療及び介護の必要性、脱却の可能性、所得の状況等を総合的に判断して行われます。
※遅延性意識障害とは、自力移動・摂食、意思疎通、意味のある発語が不可能など、一般には植物状態という言葉で理解されている障害です。
※NASVA委託病床とは、NASVA療護センターに準じた治療・看護を行う療護施設機能病床を、一般病院に委託しているものです。


高度先進医療機器(CT、MRI、PET等)を用いた検査情報を基に、個々の患者に合った治療・リハビリ等を行っています。

また、患者のわずかな意識の回復の兆しをも捉えることができるよう、ワンフロア病棟システム(一部委託病床ではモニタリングシステム)を取り入れて集中的に看護できるようにするとともに、同じ看護師が一人の患者を継続して受け持つプライマリー・ナーシング方式を導入しています。その上で、日常生活を通じた多くの自然刺激を与え、細かな配慮のもとに治療・看護を行っています。
- プライマリー・ナーシング方式
同じ看護師が一人の患者の入院から退院までを継続して受け持ち、その患者の看護に関して責任と成果を明確にするシステム。
患者のそばで一番長く一緒に過ごし、患者の残存機能、回復兆候、変化等を見逃さないよう注意深く観察することができます。
- ワンフロア病棟システム
病棟を一つのフロアに集中させるとともに、病室の仕切りを最小限にすることによって、すべてのベッドから窓の外の様子や日照の変化を感じることができるようにしています。また、患者を絶えず看護者の観察視野に置くことで、患者を注意深く観察することができます。
- 高度先進医療機器の活用
MRI、CT、PET等の高度先進医療機器を用いることにより、外観だけでは容易に判断できない脳内に隠れた意識の兆候を調べ、その検査情報を基に、患者に合った治療やリハビリなどを行います。
所在地 | 〒130-0013 東京都墨田区錦糸3-2-1 アルカイースト |
---|---|
問い合わせ先 | (独)自動車事故対策機構 被害者援護部療護センターグループ03-5608-7638 |
療護センター | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
業務開始 | 運営委託先 | 所在地 | 電話番号 | 病床数 | 外観 | |
千葉療護センター | 昭和59年2月 | 医療法人社団 誠馨会 |
千葉県千葉市美浜区 磯辺3-30-1 |
043-277-0061 | 80床 | ![]() |
東北療護センター | 平成元年7月 | 財団法人 広南会 |
宮城県仙台市太白区 長町南4-20-6 |
022-247-1171 | 50床 | ![]() |
岡山療護センター | 平成6年2月 | 社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 岡山県済生会 |
岡山県岡山市北区 西古松2-8-35 |
086-244-7041 | 50床 | ![]() |
中部療護センター | 平成13年7月 | 社会医療法人 厚生会 |
岐阜県美濃加茂市 古井町下古井630 |
0574-24-2233 | 50床 | ![]() |
療護施設機能委託病床(※) | |||||
---|---|---|---|---|---|
業務開始 | 所在地 | 電話番号 | 病床数 | 外観 | |
社会医療法人 医仁会 中村記念病院 |
平成19年12月 | 北海道札幌市中央区 南1条西14丁目 |
011-231-8555 医事課(内線451、460) |
12床 | ![]() |
社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 |
平成19年12月 | 福岡県久留米市 津福本町422 |
0942-35-3322 事務局(内線6001) |
20床 | ![]() |
泉大津市立病院 | 平成25年1月 | 大阪府泉大津市 下条町16番1号 |
0725-20-6922 (地域医療連携室) |
16床 | ![]() |
医療法人社団 康心会 湘南東部総合病院 |
平成28年5月 | 神奈川県茅ヶ崎市 西久保500番地 |
0467-83-9111 | 12床 | ![]() |
藤田医科大学病院 | 平成30年1月 | 愛知県豊明市 沓掛町田楽ヶ窪1番地98 |
0562-93-2111 | 10床 | ![]() |
医療法人社団浅ノ川 金沢脳神経外科病院 |
平成31年1月 | 石川県野々市市 郷町262‐2 |
076-246-5600 | 5床 | ![]() |
一般財団法人永瀬会 松山市民病院 |
令和2年2月 | 愛媛県松山市 大手町2丁目6番地5 |
089-913-0081 | 5床 | ![]() |
短期入院・短期入所協力事業(国土交通省)
短期入院協力事業
国土交通省では、家族の自宅介護を受ける重度後遺障害者の方々の健康維持や、家族の負担軽減のため、自動車事故対策機構の介護料受給資格をお持ちの重度後遺障害者の方々の短期入院(1回の入院が原則2日以上14日以内)を積極的に受け入れる病院を「短期入院協力病院」として指定しています。
協力病院は、以下のように入院のための環境が整っており、安心してご利用頂けます。
- 医学的管理の下に、医師による診察、検査及び経過観察を受けることができます。
- 介護されている家族の方が、専門家から在宅介護技術(病状観察法、入浴法、食事法など)及びケアの方法等の助言・指導を受けることができます。
なお、自動車事故対策機構から、協力病院やその他医療機関等に短期入院の際の入退院時の患者移送費、室料差額負担金及び食事負担金に要する費用として自己負担した額の一部助成を受けることができます。
協力病院の短期入院に関するご相談、お申し込み(お問い合わせ)は、各協力病院のソーシャルワーカーなどにお気軽にお問い合わせ下さい。
短期入所(ショートステイ)協力事業
国土交通省では、重度後遺障害者を自宅介護している家族の方々の負担軽減のため、自動車事故対策機構の介護料受給資格をお持ちの重度後遺障害者の方々の短期入所(ショートステイ)(1回の入所が原則2日以上14日以内)を積極的に受け入れる障害者施設を「短期入所(ショートステイ)協力施設」として指定しています。
協力施設は、夜間に喀痰吸引等の医療行為の対応可能な施設職員が確保されており、安心して短期入所(ショートステイ)をご利用頂けます。
なお、自動車事故対策機構から、協力施設やその他施設等に短期入所(ショートステイ)の際の入退所時の患者移送費、室料差額負担金及び食事負担金に要する費用として自己負担した額の一部助成を受けることができます。
協力施設の短期入所(ショートステイ)に関するご相談、お申し込み(お問い合わせ)は、各協力施設の担当者にお気軽にお問い合わせ下さい。
治療費(保険制度)
被害者はすぐに治療費の支払等のお金が必要になります。当面の費用について、加害者からの支払のほか、被害者が負担する場合、各種保険制度を利用できますが、どの保険制度を利用するかは被害者・家族の選択によります。
自動車保険(共済)(自賠責・任意保険)
自賠責保険(共済)では、当面の費用をまかなうお金が早く受け取れるよう、仮渡金(かりわたしきん)制度があります。
なお、任意保険については、当事者間の加入している保険の契約内容をご確認ください。
※仮渡金(かりわたしきん)
加害者が加入している損害保険会社(組合)に対し、死亡の場合290万円、傷害の場合は程度に応じて5万円、20万円、40万円が請求できます。
ただし、後日、保険会社の調査により「無責事故」(100%被害者の責任で発生した事故)であると判断された場合は、返還していただくことになります。
労災保険
業務中または通勤途中に交通事故にあった場合、労災保険に請求することができます。なお、交通事故のように加害者が存在して損害賠償が可能な場合、加害者の代わりに労災保険が肩代わりすることになるので、「第三者行為災害届」等の提出などの手続きが必要です。
詳しくは、労災保健相談ダイヤルまたは勤務先の地域を管轄する労働基準監督署にご相談ください。
労働保険相談ダイヤル | 0570-006031(土日祝日・年末年始を除く9:00〜17:00) (月曜日は19:00まで)、第2土曜日は9:30〜16:00) |
---|---|
労働基準監督署 | 勤務先の地域を管轄する労働基準監督署の所在地・連絡先は、厚生労働省のページをご覧ください。 |
健康保険・国民健康保険
交通事故以外の病気・怪我で病院にかかるときと同じように、健康保険を使うことができます。ただし、業務中または通勤途中に交通事故にあった場合は、健康保険を使用できないことになっている。なお、労災保険と同様に、交通事故のように加害者が存在して損害賠償が可能な場合、加害者の代わりに健康保険が肩代わりすることになるので、「第三者行為による傷病届」等の提出などの手続きが必要です。
詳しくは、治療を受けている病院(医療ソーシャルワーカー等)にご相談ください。
障害が残ったら
交通事故によって負った傷害に対する治療の効果が、もうこれ以上は期待できなくなったり、将来においても回復が見込めない場合には、その症状が固定した(傷害が残った)ことについて、医師の判断を受けて、後遺障害に関する手続きをすることができます。
なお、自動車事故による後遺障害と認められるには、傷害と後遺障害との間に相当因果関係が認められることなどが必要です。
後遺障害に関する支援の内容や自賠責保険の保障内容等については、「障害が残ったときは?」のページをご確認ください。