自賠制度と
自賠責保険・共済について
自賠制度とは
自賠制度とは、自賠責保険・共済、被害者支援対策、事故防止対策という3つを組み合わせた制度です。自賠責保険・共済の加入者からお預かりした保険金・共済金は、自動車を運転中に事故で他人をケガや死亡させたりした場合の賠償と、交通事故の被害者の方やそのご家族・ご遺族の方々の支援、事故防止を目的としたさまざまな事業に使われています。

自賠責保険・共済と被害者支援・事故防止対策が相まって、相互に補完し合うことで、事故被害者等を支えるとともに、事故被害者やそのご家族・ご遺族と同じ辛い想いをする方を1人でも減らす取組みを進め、安全な交通社会の実現を目指しています。
自賠責保険・共済ってどんなもの?
自賠責保険・共済とは、「自動車損害賠償責任保険・共済」のことです。自動車を運転中に対人事故を起こした場合に、加害者が負うべき経済的負担(損害賠償)を補填することにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としており、原動機付自転車(原付)や電動キックボードを含むすべての自動車に加入が義務付けられています。
支払限度額は事故の被害者1人につき以下になります。
- 死亡による損害
- :最高3,000万円
- 後遺障害による損害
- :最高4,000〜75万円(後遺障害等級による)
- 障害による損害
- :最高120万円
1つの事故で複数の被害者がいる場合でも、被害者1人ごとに上記の支払限度額が設定されます。
物損事故は対象になりません。
自賠責保険・共済の特徴
自賠責保険・共済:6つの特徴
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すべての自動車(オートバイ、原動機付自転車、電動キックボードを含む)は、自動車損害賠償保障法に基づき、自賠責保険・共済に入っていなければ運転することはできません。
自賠責保険・共済に加入していないと、車検を受けることができません。 - 物損事故は補償の対象にはなりません。自賠責保険・共済の対象は、人身事故による対人損害賠償のみとなります。
- 支払限度額は被害者1名に対して定められた金額です。1つの事故で複数の被害者がいる場合でも、被害者1名ごとに支払限度額が設定されます。
- 被害者は、加害者が加入している損害賠償保険会社(組合)に直接、保険金・共済金を請求することができます。
- 一時的な出費(治療費等)にあてるため、保険金・共済金の金額が確定し、支払いが行われるよりも前に受け取れる仮渡金(かりわたしきん)制度があります。
- 交通事故の発生の理由において、被害者に重大な過失があった場合にのみ保険金・共済金が減額されます。
自賠責保険・共済の加入義務は?
自賠責保険・共済は必ず加入の必要がある強制保険です。全ての自動車(原動機付自転車、電動キックボードを含む)は、自賠責保険・共済に加入することが義務付けられています。自賠責保険・共済に加入せずに自動車を運転した場合、以下の処分がなされます。
- 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 違反点数6点(免許停止処分)
任意保険との関係ってどうなっているの?
自賠責保険・共済は、基本的な対人賠償を確保することを目的として法律(自動車損害賠償保障法)で定められた保険です。
自賠責保険・共済の対人賠償においては支払限度額が定められているため死亡事故や、障害が残るような事故の場合などは、自賠責保険・共済の支払限度額を超えた賠償金を支払う義務が発生することがあります。また、対物賠償(物損事故等)や、加害者の自己の治療費や車両等の損害は補償の対象外です。
そのため、自賠責保険・共済では補償が十分でないと考える方は、自賠責保険・共済と自動車保険の両方に加入することをお勧めします。
自賠責保険・共済(強制保険)
すべての自動車が加入する義務がある強制保険です。保険料は、契約者の属性や事故歴等に関わらず、車種(自家用乗用車、軽自動車、原動機付自転車等)ごとに一律に設定されており、保険会社の利益を含まない最低限の保険料となっています(ノーロス・ノープロフィット原則)。
支払限度額は事故の被害者1人につき以下になります。
- 死亡による損害
- :最高3,000万円
- 後遺障害による損害
- :最高4,000〜75万円(後遺障害等級による)
- 障害による損害
- :最高120万円
自動車保険(任意保険)
自動車保険は、対人賠償金のうち自賠責保険・共済の支払限度額を超えた部分や、自賠責保険・共済の対象とならない対物賠償等に対して支払われる保険です。保険料は契約者の属性や事故歴等によって異なります。保険料には保険会社の利益が含まれます。保険料(掛金)、支払限度額、支払い対象等は、保険会社の提供する商品ごとに異なります。
自動車事故の被害者やご家族・ご遺族が受ける損害とは
自動車事故の被害者が受ける損害には、身体的損害、金銭的損害、精神的損害の3つがあります。
身体的損害(被害者)
交通事故によって、入院や、手術などの治療を受け、身体的苦痛を受けたり、消えない傷や、むちうちなどの後遺症が残ったり、意識障害、脊髄損傷(身体のまひや呼吸機能障害)、高次脳機能障害などの重い障害が残ってしまう場合があります。
金銭的損害(被害者、ご家族、ご遺族)
入院や治療、介護を受けた場合に、治療に要する費用が発生します。また、入院・治療を受けるために仕事や学校を休まざるを得なかったり、仕事の継続が難しくなりやむなく離職せざるを得なかったりする場合もあります(逸失利益)。被害者が乗車していた自動車や自転車などが破損した場合には、修理代金等もかかります。
精神的損害(被害者、ご家族、ご遺族)
交通事故にあったことによって、精神的苦痛を受ける人がいます。事故の記憶がフラッシュバックされて恐怖感に感じる、道路を歩くのが怖くなったり自動車や自転車に乗れなくなる人もいます。後遺症や障害が残ってしまった人も、精神的苦痛が継続します。亡くなってしまわれた方のご遺族、介護が必要になってしまわれた方のご家族も、精神的損害を受けます。また、損害賠償をめぐって裁判が行われた場合にはその対応や、報道への対応によっても、精神的苦痛を受ける場合があります。