自賠制度の
財源と推移

自賠責保険・共済の財源と推移について

自賠責保険料・
共済掛金の金額について

自賠責保険料・共済掛金は、どの保険会社と契約しても一律です。保険料(共済掛金)は、損失も利益も出さないよう収支を調整する「ノーロス・ノープロフィットの原則」に従い、毎年検証され、必要に応じて調整されます。保険料の金額は、金融庁において、保険料の収入と保険金の支払い額のバランスの検証結果に基づき、例年1月に開催される自動車損害賠償責任保険審議会(自賠審)における審議を経て決定します。

自賠責保険料・
共済掛金の推移

以下の図は、昭和53年以降の自賠責保険料・共済掛金の推移を表すグラフです(自家用車の2年契約の場合)。昭和60年から平成3年まで41,850円だった保険料(共済掛金)は、変動を繰り返しながら徐々に引き下げられる傾向にあり、現在は20,010円となっています。令和5年4月以降は、17,650円に引き下げられました。その理由は、自動車の安全性能の向上などにより、交通事故の数が減少し、保険金支払額が減少していることによります。交通事故件数は平成16年の952,191件をピークに減少し、令和4年は301,193件に、交通事故死者数は、平成以降では平成4年の11,452人をピークに減少し、令和4年は2,610人となっています。

保障事業の財源
について

保障事業の財源は、賦課金(※)(現在は自家用車1台あたり1年間16円)によってまかなっています。保障事業の財源となる賦課金は、令和5年4月1日からは自家用車1台あたり1年間4円に引き下げられました。
※賦課金…ある事業を行うことを目的に納付いただくお金のこと

被害者支援・事故防止対策の財源について

被害者支援・事故防止対策は平成14年度以降、平成13年度まで政府において自賠責保険・共済に関し、再保険・共済保険を行っていたことに伴い預かっていた自賠責保険・共済の保険料・共済掛金を運用して得られた利益を特別会計に積み立てた積立金とこの積立金から生じる運用益を原資としてきました。平成14年度以降、当時の想定を大きく下回る低金利で金利水準が推移したことに伴い、当時の制度設計の前提が崩れ、積立金を取り崩す形で被害者支援や事故防止対策を行っています。

運用益による被害者支援/
事故防止対策の実施

平成13年度まで、政府において自賠責保険・共済に関し、再保険・共済保険を行っていたことに伴い預かっていた自賠責保険・共済の保険料・共済掛金を運用しておりました。その運用により得られた利益を特別会計に積み立てており、平成13年度当時、約2兆円の積立金が計上されていました。このうち、1.1兆円は、平成14年~19年度まで保険料・共済掛金を引き下げることにより、自動車ユーザーに還元いたしました。残りの0.9兆円を原資として、被害者支援・事故防止対策を行ってまいりました。

金利水準の影響により
運用益が不足

令和4年度は、被害者支援と事故防止対策は、年間147億円の規模で実施しており、その事業費は、積立金の残高、積立金の運用益、一般会計からの繰入金でまかなわれています。このうち、積立金の運用益については、図のように、平成13年の時点では積立金0.9兆円を年利2%で運用し、年間180億円弱の運用益のみで被害者支援と事故防止対策を行っていく想定でしたが、見込みより金利が大幅に低下したことにより、運用益のみで事業費をまかなっていくことが難しいことが明らかになりました。また、仮に現時点で一般会計への繰入金の残高が全額繰り戻されても、現在の金利では当初想定していた運用益を得ることは難しい状況です。

安定的かつ継続的な仕組みとするための制度改正

被害者支援及び事故防止対策を将来にわたって、安定的かつ継続的に実施するための財源とするため、令和5年4月より、自賠責保険料・共済掛金の一部として、新たな賦課金を新設しました。この賦課金により、年間100億円程度の歳入を確保することができ、これに積立金の残高、積立金の運用益、一般会計からの繰入金を合わせて、長期にわたる被害者支援・事故防止対策を実施することができるぐらいになります。

一般会計からの繰戻しについて

国土交通省の特別会計から一般会計に対しては平成6年と平成7年に、合わせて約1.1兆円が国の一般会計に繰り入れられております。これは当時、国の財源不足に伴い、財政特例法により、繰り入れられたものであり、バブル崩壊に伴う景気後退局面の中、赤字国債の発行をゼロにするという目標を達成しつつ、税収減に伴う歳入不足を穴埋めするため、直ちに活用することが見込まれない特別会計に存する積立金を一時的に活用することとされたことに伴って講じられた措置です。
平成8年度以降、順次その一部が繰り戻されていますが、令和5年度末の見込みで5,880億円の残高があります。
国土交通省としては、令和3年12月の財務大臣との合意を踏まえ、引き続き、財務省に対して、全額の繰戻しに向け、着実な繰戻しをしっかりと求めてまいります。

繰戻しの実績について

一般会計から自動車安全特別会計への繰戻し金額は、次の表のようになっています。令和4年度実績では、当初予算、補正予算合わせて66億円が繰り戻されています。

年度 繰入額
平成6年度 8,100億円(当初)
平成7年度 3,100億円(当初)
年度 繰戻額
平成8年度 1,544億円(補正)
平成9年度 808億円(補正)
平成12年度 2,000億円(当初)
平成13年度 2,000億円(当初)
平成15年度 569億円(補正)
平成30年度 23億円(当初)
令和元年度 37億円(当初) 12億円(補正)
令和2年度 40億円(当初) 8億円(補正)
令和3年度 47億円(当初) 8億円(補正)
令和4年度 54億円(当初) 12億円(補正)
令和5年度 60億円(当初)