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「トラガール促進プロジェクト」はトラガールを目指す女性の道しるべとなるとともに、経営者等に新しい視点を提供し、業界のイメージ改革を図るための取組です。

サービス/製品一覧コラム ドラコン優勝!

2015年7月7日

森田さん

 第46 回全国トラックドライバー・コンテスト女性部門で総合得点939点を獲得し、見事優勝した森田泰子さん(鳥取県代表)。
 6月2日、ドラコン優勝者として総理大臣官邸を表敬訪問する直前の森田さんに、お話を伺いました。

■普段の仕事について教えてください。

 
普段は11t車に乗務し、関西方面へ、日帰りでの輸送を担当しています。1日の走行距離は平均して500km程度で、輸送品目は、食品や飲料、巻き取り紙や自動車関連部品など多岐にわたります。
 積み降ろしの作業はフォークリフトで行っています。今の会社で働くようになったきっかけも、フォークリフトの運転技術を買われての入社でした。トラックの運転だけでなく、お客様にフォークリフトの運転も認めてもらえる時が、この仕事をしていて一番やりがいを感じる瞬間ですね。

■大会出場を決めたきっかけや、試験対策への取組方についてお聞かせください。
森田さん
 ドライバー・コンテストについては、長い間「女性部門には11t車では出場できない」と思い込んでおり、挑戦するのが遅れてしまいました。出場のきっかけになったのは、第45回(平成25年度)女性部門優勝者の東真由美さんが、11t車で出場していたのを知ったことでした。
 鳥取県大会への出場を決めてエントリーをしたのが、大会の1週間前。運転に関しては、もう今年でドライバー歴22年目ですし、実技には自信があったのですが、学科試験に対しては苦手意識があったので、トラックの構造など、整備系の知識について重点的に勉強しました。学科試験の勉強は仕事の合間や休憩時間を利用して行い、県大会に臨みました。

■全国大会当日はどのような気持ちで臨みましたか。
森田さん
 とにかくいちばん緊張したのが、開会式での選手宣誓でした。大会の1か月ほど前に「選手宣誓をしてほしい」というお話をいただいて、それからは試験対策だけでなく、選手宣誓の練習も開始しました(笑)。
 全国大会当日はこれ以上ないほど緊張した状態で宣誓に臨みましたが、選手宣誓で緊張のピークを迎えたおかげか、その後の試験はリラックスして、焦らず、気負わず、普段どおりの実力を出すことができました。実科競技の順番がいちばん最後だったため、集中して試験に臨むことができ、宣誓も、順番も、結果的にプラスに作用してくれました。
 特に、実技での模擬市街路やスラロームの走行は、「自分史上最高」といっていい、完璧な出来でした。「ここまでできる女性はいないだろう」と自ら思ったほどで、実科競技を終えた瞬間、優勝を確信しました。これはやはり、経験年数が結果に出たといいますか、トラックドライバーとして積み重ねてきた経験や感覚がものをいったのだと思います。

■ドラコン優勝を受けて、何か変化はありましたか。
森田さん
 「無事故・無違反で、安全運転を最重要視しながらも、お客様の要望に応えられるような動きがしたい」という思いが、より強くなりました。そして、優勝したことによって、お客様をはじめ、周囲からも「日本一のドライバー」という目でみられるようになり、運転においても作業においても、今まで以上に、全てに慎重になりました。
 優勝後、鳥取県初のドラコン優勝者ということで、鳥取県知事の元へ表敬訪問に行くなど、新聞やメディアに取り上げていただく機会が多く、街行く人からも声をかけられるようになりました。
 これほど大事になるとは思っていなかったので、正直驚いています。荷主先に出向くと「日本一が来たぞ!」と声をかけられることもしばしばです(笑)。気恥ずかしいですが、そのおかげで会話が増え、荷主さんともコ
ミュニケーションを取ることができるので、とてもよかったです。

■女性ドライバーが活躍するために必要なことはなんでしょうか。
森田さん
 女性ドライバーが増えてきたとはいえ、この業界はまだまだ男性社会です。女性ドライバーに必要なのは、「女性だからダメだ」といわれることのないように、男性よりもがんばって仕事に取り組むことだと思います。
 今までのドライバー生活は、本当に大変なことの連続でした。今でも珍しいといわれますが、当時11t車に乗っている女性ドライバーはかなり珍しく、「女にこの仕事ができるのか」といった、きつい言葉を浴びせられ、悔しくて泣いたこともたくさんありました。もちろん優しい人もいましたが、女性ドライバーに厳しい人が多い時代でした。
 今はそうしたこともなくなり、同じ職場の男性ドライバーが「お前がやっとる仕事、俺はようせんわ」といってくれるなど、男性社会の厳しい環境を耐え抜いていく中で、少しずつ私を一人のドライバーとして認めてくれたという実感があります。しっかりがんばって仕事をすれば、周囲もその様子を見て、認めてくれます。今の職場では、女性ドライバーは私一人。「『女はダメだな』といわれることのないような仕事ぶりを発揮する」ということが、私のプライドにもなっています。

■子育てをしながら働く女性ドライバーとしての思いを教えてください。
森田さん
 トラックドライバーとして必死で仕事をしてきた分、一児の母としては、家族や子どもを犠牲にしてきてしまったと思います。私には18歳になる息子がおり、今年から新社会人として働いています。息子が小さい頃は、ずいぶんと寂しい思いをさせてしまいました。遠いところまで運転する仕事をしているわけですから、何か緊急の事態があった場合も、すぐに駆け付けて対応することができません。子どもが保育園に通っていた頃などは、その都度先生に謝り、子どもの面倒をみていただいていました。
 そうした理由から、長距離ドライバーという職業は、独身の女性には向いていると思いますが、家庭のある女性には、両立が難しい面もあります。ただ、育児に無理のない、時間の決まっている運行や、社内に託児施設などのある会社であれば、子育て中の女性でも長距離ドライバーとして活躍できるのではないかと思います。
 この春から息子が一人立ちをして手が離れたので、より仕事に打ち込めるようになりました。もっと歳をとったら、トラックドライバーからフォークリフト作業へ、仕事内容をシフトしようかと考えています。20年以上続けてきた仕事ですし、私には「何かを運転する」という仕事しかできません。私がトラックドライバーになったのは、夢やあこがれよりも、収入など実利の面からでしたが、今ではとても自分に向いている仕事であり、天職だと思っています。これからもずっと、この仕事を続けていきたいです。

■趣味はなんですか。
 リフレッシュ兼体力トレーニングのために行っているゴルフです。近頃は平均80台のスコアが出るようになり、たくさんのゴルフ仲間ができたこともあって、ゴルフが今いちばんの楽しみになっています。
 もともと若い頃から体を鍛えたりスポーツをしたりするのは好きだったのですが、ここ数年で日々の仕事が忙しくなり、運動の機会が少し減ったせいか、体力の衰えを感じはじめました。長距離の運転をしている時は、ほとんど歩くことがありません。ゴルフはとにかく歩くスポーツなので、がんばって歩いて、体力増強に努めています。「仕事を長く続けていくための趣味」でもありますね。

■安倍総理表敬訪問を終えて。

 今日の日を楽しみにしていました。緊張よりもワクワク感の方が強かったです。総理官邸に行き、総理大臣に表彰してもらうことができるなんて、思ってもみませんでした。20年以上がんばってきたトラックドライバー人生が報われたような気分で、とてもうれしいです。そう考えると、ドラコンの優勝も今までの集大成であり、今までのがんばりが実を結んだのかな、とも思います。
 今回の官邸訪問が決まってすぐ、息子に「お母さん総理官邸行くんだで、会社とかで自慢してこいな」といったのですが、「いやだし、恥ずかしいし」と返されてしまいました(笑)。ニュースや新聞記事などで、私と総理大臣が一緒に写った「官邸訪問の証拠写真」を見れば、息子もさすがに喜んでくれるのではないかな、と期待しています(笑)。


総理表敬



【引用・転載:全日本トラック協会「広報とらっく」(第2041号)より】
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