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委員長記者会見要旨(令和3年5月25日

令和3年5月25日(火)14:00~14:23
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、5月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況  

 はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故は、航空、鉄道、船舶モード合わせて4件ありました。

 航空モードは、4月14日に八尾空港で発生したバードストライクによる小型機の機体を損傷した事故の1件です。
 鉄道モードは、5月16日にJR東日本米坂線の第4種踏切道で発生した踏切障害事故の1件です。
 船舶モードは、4月27日に沖縄県本部町の漁港で、遊覧の目的で出港準備中のプレジャーボートが爆発した事故、5月20日に千葉県いすみ市沖で遊漁船同士が衝突した事故の2件です。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。

2.小型船に関する安全啓発資料の公表    

 次に、地方事務所における分析の発行についてご報告します。当委員会では、全国8か所に所在する地方事務所において、その地方の特徴的な事故などについて分析に取り組み、対策をとりまとめて安全啓発資料として発行しています。
 本日、広島事務所が中心となって作成した、小型船舶の漂泊あるいは錨泊中の衝突事故を防ぐための資料をホームページ上に公表しました。お手元の資料2をご覧願います。

 瀬戸内海をはじめとする広島事務所の管轄区域では、操業中の漁船や釣り中のプレジャーボートといった小型船の衝突事故が後を絶たない状況にあります。このようなことから今回は、「漂泊・錨泊中の小型船」にスポットを当てて、47件の衝突事故事例の状況分析を行いました。
 分析の結果、漂泊や錨泊中、自船に向けて航行してくる相手船に気付かず衝突に至った事例が47件中22件と半数近くを占める一方、残り半数は、相手船に気付いていながら、衝突を避ける措置を取らなかった事例が47件中23件でした。
 こうしたことから、同種事故の防止に向けて、漂泊・錨泊中でも見張りを行うこととともに、航行中の相手船が避けてくれるとは限らないことを念頭に置き、自身が避けることも意識するよう、漁船やプレジャーボートの操縦者に呼びかけていきたいと考えています。

 全国でも同様の事故が発生しており、全国の小型船に関係する皆様方に、この資料をご覧いただき、漂泊・錨泊中の衝突事故防止に役立てていただけることを期待しております。

 先般、昨年度の小型船舶免許試験の合格者が、一昨年度に比べて増えているという報道がありました。こうした新たに免許を取られた方に対してもしっかりと呼びかけを行っていきたいと思っています。

3.ITSA(国際運輸安全連合)ウェブ会合    

 最後に、今年度1回目の国際運輸安全連合(ITSA)委員長会議についてご報告します。

 ITSAは、米国、フランス、オーストラリア等18の国・地域の事故調査機関の委員長級をメンバーとし、航空、鉄道、船舶など複数の輸送モードをカバーする国際的な組織です。
 主な活動目的は、毎年、各国機関の代表メンバーが集まる会議において、事故調査から得られた様々な教訓や現在の取組課題等の情報を共有し意見交換を行うことにより、運輸の安全性を向上させることにあります。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、昨年5月以降ウェブ会合の形で年に数回開催されています。

 今般5月17日及び18日の2日間にわたり、今年度第1回のウェブ会合が開催されました。
 我が国からは、2019年3月21日に京浜港で発生した3隻のコンテナ船が関係する衝突事故の調査報告書を題材に、田村委員よりプレゼンを行いました。これにより、運輸安全委員会では船舶の衝突リスクの定量的評価・分析に取り組んでいる旨の情報共有をさせていただいたところです。
 このほか、次回も引き続きウェブ形式で、今年の10月に実施することが決まりました。

 コロナ禍においても、こうした国際会議をウェブ形式で行い、モニター越しに各国の委員長の顔を見ながら直接意見交換を行うことは大変有意義です。
 今後とも積極的に意見交換、情報共有に努め、各国の委員長との信頼関係の醸成と当局間の協力関係の強化を図って参りたいと思います。

 本日、私からは以上です。
 何か質問があればお受けします。

4.質疑応答

(JR北海道石勝線列車脱線事故関係)

問: JR北海道石勝線の部品脱落による脱線事故から10年になると思います。非常に大きな事故、印象的な事故で事故調査も入ったと思いますが、10年ということで委員長のご所感などがあれば教えてください。
答: 平成23年5月27日、JR北海道石勝線の清風山信号場構内で発生した列車脱線事故については、亡くなった方はおりませんが、脱線及びその後に発生した「まくらぎ」の火災により、乗客乗員79名が負傷し、全6両の車両が焼損するなど被害が生じた事故でした。お怪我をされた方々にあらためてお見舞いを申し上げます。
 当委員会は、平成25年5月に事故調査報告書を公表し「本事故は、列車4両目の後台車第1軸の左車輪の、円周形状不整に伴う著大な振動を受けたことが関与して、減速機を支える吊りピンが脱落したため脱線したものと考えられる。」として脱線の原因をあきらかにしました。
 また火災については「脱落した減速機の部品によって燃料タンクが破損したため、漏出した軽油がその付近の「木まくらぎ」周辺に飛散し、発電機若しくはエンジン後端部上面付近で出火した火が延焼拡大したことによるものと考えられる。」としております。
 当委員会は、脱線の原因を踏まえ、JR北海道に対して「車輪踏面の状況を把握するための、適切な検査時期及び検査手法を確立し、車輪踏面状態の管理を徹底すること」を求める勧告を行い、これに対し、同社から平成28年8月に勧告に基づき講じた措置について報告がなされました。
 運輸安全委員会としては、今後とも鉄道、航空および船舶事故の防止と、事故が発生した場合における被害の軽減に寄与するため、科学的・客観的な事故調査に基づく事故原因の究明と、再発防止策の提言を行ってまいる所存です。
問: 科学的、客観的に~再発防止策の提言という部分がありました。10年前を活かした取り組みになってくると思うのですが、具体事例とか含めてお願いします。
答: 具体例を申し上げますと、令和元年6月に横浜シーサイドライン新杉田駅構内で発生した鉄道人身障害事故について、当委員会は、令和3年2月に事故調査報告書を公表し、断線、逆走に関する調査、分析結果等に基づき事故の原因を明らかにしました。
 また、本事故の背景には、車両の設計・製造プロセスにおいて、「設計体制等の確認や調整」、「安全要件の抽出」、「安全性の検証」が十分に実施されなかったことが考えられました。
 このことから、国土交通大臣に対し、「自動運転システムの設計にあたっては、「設計体制等の確認や調整」、「安全要件の抽出」、「安全性の検証」の各フェーズを設け、それぞれを十分に実施するよう、全国の鉄軌道事業者及び鉄道車両の設計・製造に関わるメーカーに対し、指導を徹底すべき」とする勧告を行いました。
 さらに本件を踏まえ、将来の自動運転システム普及に向けて、国土交通大臣に対し、「国土交通省鉄道局は、将来の自動運転システムの普及に備え、同システムの設計及び製造並びに改造の際の危険な事象の潜在的な原因の発生を予防する観点から、勧告で述べた各事項の制度化について検討すること」との意見を述べたところです。

資料

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