良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法(概要)
第1 目的(第1条)
この法律は、良質な賃貸住宅等の供給を促進するため、国及び地方公共団体が必要な措置を講ずるよう努めることとするとともに、定期建物賃貸借制度を設け、もって国民生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とすること。
第2 良質な賃貸住宅等の供給の促進(第2条)
(1) 国及び地方公共団体は、適切な規模、性能、居住環境等を有する良質な賃貸住宅等の供給の促進のために必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
(2) 国及び地方公共団体は、賃貸住宅について安全性、耐久性、快適性等の確保に資するため、住宅の性能を表示する制度の普及に努めるものとすること。
第3 住宅に困窮する者のための良質な公共賃貸住宅の供給の促進(第3条)
(1) 国及び地方公共団体は、住宅に困窮する者に対する適切な規模、性能、居住環境等を有する良質な公共賃貸住宅の供給を促進するため、公共賃貸住宅の整備及び改良等に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
(2) 住宅建設計画法による住宅建設5か年計画は、(1)の趣旨を参酌して策定されなければならないものとすること。
(3) 公共賃貸住宅の管理者は、公共賃貸住宅の入居者の選考に当たり、住宅に困窮する者の居住の安定が図られるよう努めるものとすること。
第4 賃貸住宅等に関する情報の提供、相談等の体制の整備(第4条)
国及び地方公共団体は、良質な賃貸住宅等に対する国民の需要に的確に対応できるよう、賃貸住宅等に関する情報の提供、相談その他の援助を行うために必要な体制の整備に努めるものとすること。
第5 借地借家法の一部改正(第5条)
(1) 定期建物賃貸借制度の創設
@ 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書等の書面によって契約をするときに限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができるものとすること。
A @の定めをするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ建物の賃借人に対し、当該賃貸借は更新がなく、期間の満了により終了する旨を書面を交付して説明しなければならないものとし、その説明をしなかったときは、いわゆる正当事由借家契約となるものとすること。
(2) 期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知
定期建物賃貸借において、期間が1年以上である場合には賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下「通知期間」という。)に賃借人に対し期間の満了により賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を賃借人に対抗することができないものとすること。ただし、賃貸人が通知期間の経過後賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでないものとすること。
(3) 借家人の中途解約
居住の用に供する建物(その床面積が200平方メートル未満のものに限る。)の定期賃貸借において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、賃借人は、賃貸借の解約の申入れをすることができるものとすること。この場合、賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了するものとすること。
第6 施行期日(附則第1条)
この法律は、公布の日から施行するものとすること。ただし、借地借家法改正法は、平成12年3月1日から施行するものとすること。
第7 借地借家法改正法の施行前にされた建物の賃貸借契約の効力(附則第2条)
借地借家法改正法の施行前にされた建物の賃貸借契約の更新に関しては、なお従前の例によるものとすること。
第8 定期建物賃貸借への切替えに関する経過措置(附則第3条)
借地借家法改正法の施行前にされた居住の用に供する建物の賃貸借の当事者が、その賃貸借を合意により終了させ、引き続き新たに同一の建物を目的とする賃貸借をするときは、当分の間、定期建物賃貸借制度は適用されないものとすること。
第9 検討(附則第4条)
国は、この法律の施行後4年を目途として、居住の用に供する建物の賃貸借の在り方について見直しを行うとともに、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。