中高層共同住宅標準管理規約の改正の概要

 建設省では、分譲マンションの管理に関する基本的なルールである管理規約の標準モデルとして、昭和57年に住宅宅地審議会より「中高層共同住宅標準管理規約(以下「標準管理規約」という。)」の答申を受け(昭和58年に区分所有法の改正に伴い一部改訂)、広くその周知・普及を図ってきました。
 しかし、標準管理規約作成当時から今日までのマンションの急速な普及に伴って、種々の問題が新たに生じてきており、これらを取り込んで、標準管理規約をより一層合理的かつ利用しやすいものとするために、平成7年2月10日住宅宅地審議会にその改正について諮問を行い、平成9年2月7日に審議会において答申を得たところです。以下には、具体的に審議会に諮問した趣旨及び審議会における答申の内容について、その概要を紹介します。

主な改正内容について

 主な改正内容は以下のとおりです。

(1)適切な大規模修繕を実施していくための前提となる長期修繕計画の策定を管理組合の業務として位置づけ

 マンションにおける居住水準を維持し、良好に維持管理していくためには、計画的な大規模修繕を適切に実施していくことが重要であるが、必ずしも十分に行われているとは言えない状況にあることから、大規模修繕を円滑に進めていく上での前提となる長期修繕計画の作成又は変更に関する業務を管理組合の業務として規定する(単棟型第31条等)。

(2)マンションの使用をめぐるトラブルが多くなってきていることから、区分所有者間の公平性を確保し、マンションの管理の適正化を図っていくための規定を位置づけ

  1. 駐車場の使用をめぐる区分所有者間の公平が図られるよう、駐車場の使用について、「専用使用権」という文言を削除する等規定を整理する(単棟型第15条等)。

  2. 専有部分におけるリフォームをめぐるトラブルを未然に防止し、建物全体への影響を考慮するという観点から、専有部分のリフォーム工事を行おうとする場合の手続き規定を整備する(単棟型第17条等)。

  3. 配管の枝管等専有部分である設備のうち本管等共用部分と一体となった部分の管理については、本管等の共用部分の管理と一体として行った方が適当な場合が多いことから、管理組合が一体として管理を行うことができるよう規定を設ける(単棟型第21条等)。

(3)団地形式や店舗併用形式のマンションが増えてきていることから、団地型と複合用途型の標準管理規約を新たに作成

  1. 団地型の標準管理規約は、団地型として最も一般的な、団地の土地全体が区分所有者の共有となっている形態を対象とすることとし、管理組合は、団地全体の共有物のほか、各様についても一元管理するものとする(団地型第4条、第21条等)。

  2. 団地内における管理対象物に対する各区分所有者の費用負担を明確にするため、管理費、団地特別修繕費及び各棟特別修繕費のそれぞれの費用の額の算出方法及び使途について明確にするとともに、収支を明確に分けるため、それぞれの費用ごとに(各棟修繕積立金は棟ごとに)区分して経理することとする(団地型第24条、第29条等)。

  3. 複合用途型の標準管理規約は、複合用途型として多数を占めている低層階に店舗があり、上階に住戸があるという形態で住宅が主体のマンションを対象とすることとし、管理組合は、住宅又は店舗の区分所有者のみが共用している一部共用部分についても一元的に管理するものとする(複合用途型第4条、第21条等)。

  4. 管理対象物に対する各区分所有者の費用負担を明確にするため、全体管理費、全体特別修繕費、住宅一部管理費、住宅一部特別修繕費、店舗一部管理費及び店舗一部特別修繕費のそれぞれの費用の額の算出方法及び使途について明確にするとともに、収支を明確に分けるため、それぞれの費用ごとに区分して経理することとする(複合用途型第24条、第25条、第31条等)。


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