サイドブレーキを引かなかったことに起因する最近の事故例

 

事故例1(平成1549日午後9時頃 東京港)

        車両積卸し作業中、トレーラー運転手(港運事業者)がサイドブレーキを引かないまま運転席から降り、ヘッドとシャーシの間でサービスラインのエアホース接続作業に手間取っていた。

        そのとき、先にエマージェンシーラインが接続されてシャーシ側ブレーキロックが自動的に解除されていたため、甲板傾斜によりトレーラー全体が運転席無人の状態で前方に動き出し始めていた。

        しかし、船内作業員は、自らの発進合図に応答して運転手が発進させたものと思い込んで次の作業に移り、また、トレーラー運転手もこれに気付かなかったため、前方で作業をしていた作業員1名が、近づいてきたトレーラーと他の積付シャーシとの間に挟まれ、のち死亡した。

 

事故例2(平成16722日午前610分頃 新門司港)

        車両積卸し作業中、トレーラー運転手(フェリー乗客)がトレーラー(ヘッドとシャーシが連結された状態)に乗り込み、作業員の誘導に従い発進しようとしたところ、シャーシ側のブレーキ未解除に気付いた。

        そのため、運転手がサイドブレーキを引かないまま運転席から下りて同ブレーキを解除したところ、甲板傾斜によりトレーラー全体が運転席無人の状態で前方に動き出した。

        これに気付いた同運転手は、作業員の制止の指示を聞かずに慌ててヘッドに飛び乗り、停止させようと試みたが、船首部ピラーと接触した運転席ドアと車体の間に挟まれて胸部を強打し、のち死亡した。

事故例3(平成16124日午後5時頃 大分港)

        車両積込み作業中、トレーラー運転手(港運事業者)がヘッドとシャーシの切り離し作業を終えて、発進しようとしたが、カプラー連結ピンの解除作業が不完全であり発進ができなかったため、運転席から再度降りてカプラー連結ピンの解除作業を行った。

        ところが、サイドブレーキを引かないまま運転席を降りていたため、連結ピンが解除されると同時に、甲板傾斜によりヘッドが運転席無人の状態で前方に動き出した。

        これに気付いた同運転手は、慌ててトレーラーヘッドに飛び乗り、停止させようと試みたが、他の積載車両と接触した運転席ドアと車体の間に挟まれて胸部を強打し、のち死亡した。

事故例4(平成1738日午前740分頃 松山港)

        車両積卸し作業中、トレーラー運転手(荷主)がサイドブレーキを引かないまま運転席から降り、ヘッドとシャーシの間でエアホース接続作業を行っていた。

        そのため、エアホース接続によりシャーシ側ブレーキロックが自動的に解除されたが、作業員がシャーシの補助脚を巻上げ始めたため、甲板傾斜によりトレーラー全体が運転席無人の状態で前方に動き出し始めた。

        これに気付いた同運転手は、トレーラーヘッドに飛び乗り、停止させようと試みたが、運転席ドアと船内ランプウェイのハンドレールの間に挟まれて全身を圧迫され、のち死亡した。