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坂本 勲生(さかもと いさお)

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最終更新日:2010年4月12日

熊野本宮語り部の会会長
坂本 勲生(さかもと いさお)

主な経歴

1928年
和歌山県本宮町生まれ
1948年
和歌山師範学校卒業後、和歌山県教員となり、小・中学校にて40年間教鞭をとる
1988年
和歌山県本宮町立三里中学校長を最後に退職  
1989年
本宮町史編纂室長に就任、現在に至る
1990年
本宮町文化財保護委員会委員に就任、紀州語り部の会に入会
1993年
本宮町文化財保護委員会委員長に就任、現在に至る
1998年
本宮町語り部の会(熊野本宮語り部の会)会長に就任、現在に至る

カリスマ名称

「『熊野古道』の人気を支える語り部のカリスマ」

選定理由

熊野古道の語り部の第一人者として、時に古文書の解説を挟みながらその卓越した知識で古道案内を行い、また本宮町語り部の会会長として現地研修会などを開催し、自ら資料収集、冊子の編集から講師まで幅広く行いながら語り部の養成と会員のレベル向上に努めている。

具体的な取り組みの内容

和歌山県の南東部、奈良県に接する本宮町は、熊野信仰の中核をなす熊野本宮大社が鎮座する町である。古より黄泉の国、常世の国と言われた"熊野" に詣でる「熊野古道」。それは、平安・鎌倉時代には後鳥羽上皇が、藤原定家、和泉式部が歩いた道、そして時代につれて武士階級、庶民へと広がっていった道、江戸時代にはすさまじいばかりの信仰ぶりで「蟻の熊野詣」とまで言われたほどおびただしい人々が参詣した熊野信仰の道である。その古道が今再び蘇り、日本を代表する歴史の道として多くの人々が訪れるようになった。そんな訪れる人々に熊野古道の歴史と魅力を案内するのが、「本宮町語り部の会」。その会長が坂本勲生氏である。
熊野古道を歩く平安衣装姿の女性
熊野古道を歩く平安衣装姿の女性

南紀熊野体験博での活動

坂本氏は、小・中学校教員時代より本宮町の歴史を研究、地域の歴史や史跡を教材に取り入れて授業を実施するなど本宮町の歴史に造詣が深く、時折熊野古道のガイドを買って出るなどしていた。 和歌山県では、地元の歴史・文化の魅力を伝える観光ガイドを「紀州語り部」として登録する制度を1986(昭和61)年から開始したが、坂本氏は平成2年に登録を受け、歴史の道「熊野古道中辺路(なかへち)街道」を中心に語り部として活躍を始めた。

特に熊野古道の中心となる本宮町では、県内の市町村の中でも「紀州語り部」の登録を受けたガイドが最も多いこともあって、「本宮町語り部の会」が組織された。1998(平成10)年に同会の会長に就任した坂本氏は、翌年に開催される南紀熊野体験博の重要性をいち早く認識していた。 南紀熊野体験博は、ジャパンエキスポ初のオープンエリア方式で開催される博覧会で、キーワードは「体験」とされ、貴重な文化遺産である熊野古道を歩くさまざまなイベントが打ち出された。

例えば、10万人の熊野詣をテーマイベントとして「熊野御幸記」古道ウォークの実施などである。 坂本氏は、熊野古道の道中にある王子社(おうじしゃ・熊野権現の御子神を祭った社)についての説明が不十分であることを痛感していた。そこで、それぞれの説明内容を充実するべく、さっそく資料収集を行いながら冊子にまとめ、それらを基に自ら講師として会員の研修をはじめるなど、精力的に活動をはじめた。

坂本氏が一番苦労したのは、資料を取りまとめるのに古い文献等を使用するため、その正確性を判断するのにさらに多くの文献等を調査する必要があった点だったという。多くの時間と忍耐のいる作業であった。

また坂本氏は、出来上がった「語り部の冊子」に決して満足することなく、大事なことは語り部が基本部分をしっかり勉強し、ひとりひとりの個性を出して自分の言葉でガイドをすることであると会員の指導に努めた。

もちろん、坂本氏自らも寸暇を惜しんで来訪者へのおもてなしとして古道ガイドに奔走したことは言うまでもない。

こうした坂本氏をはじめとする会員の努力の甲斐もあり、語り部の会に対する要請は引きも切らず、南紀熊野体験博は無事成功した。また、体験博以降熊野古道が脚光を浴びるきっかけにもなった。
熊野古道での語り部研修(小雲取越)
熊野古道での語り部研修(小雲取越)
熊野古道での語り部研修(大斎原)
熊野古道での語り部研修(大斎原)

「ほんまもん」のTV放映

2001(平成13)年10月に始まったNHK朝の連続テレビ小説「ほんまもん」では、熊野古道の「伏拝(ふしおがみ)王子」、「発心門(ほっしんもん)王子」周辺が舞台となった。ヒロインの母親が熊野古道の語り部の役で登場、坂本氏も語り部役で出演した事により、本宮町語り部の会は一躍全国的に脚光を浴びることとなった。

近年における体験型観光のニーズの高まりもあり、熊野古道を訪れるハイカーは年々増加している。和歌山県作成の主要観光地別観光客の目的別推計表によると、熊野本宮温泉郷へのスポーツ・ハイキング・ゴルフ等の目的の訪問者数は、体験博前の1998(平成10)年では19,294人、体験博のあった1999(平成11)年は57,598人、2002(平成14)年には62,433人と増加の一途をたどっている。

こうした状況の中で、語り部の養成が急務であると感じる坂本氏は、現地研修などの開催及び新人語り部の養成と会員のレベル向上にますます熱が入る日々である。
「ほんまもん」ロケ地伏拝王子でガイドを行う語り部
「ほんまもん」ロケ地伏拝王子でガイドを行う語り部

本宮町史編纂とのかかわり

また、本宮町文化財保護委員会委員長でもある坂本氏は、平成元年4月より本宮町史編纂室長として資料収集事務に携わり、本宮町の古代より近現代に至る幅の広い歴史に関する知識は、多くの専門家からも高く評価されている所である。 

こうした坂本氏の地道な努力が実り、2003(平成15)年には、本宮町史編纂室として本宮町史「古代中世史料編」、「文化財編」を発刊。「古代中世史料編」は、奈良時代以前から浅野時代までの熊野・本宮町域に関する史料を編年に収録。「文化財編」は、本宮町域に伝わる文化財、民俗と発掘調査された考古資料を収録、構成は、三里地区、本宮地区、四村地区、請川地区、敷屋地区の5地区に分け、神社、寺院、石造物、城跡、民俗文化財、天然記念物、遺跡等とともに熊野参詣道の項を設けて本宮町域の詳細を掲載している。

世界遺産登録を見据えて

我が国が2004(平成16)年の世界遺産に登録申請中の「紀伊山地の霊場と参詣道」は、修験道の拠点である「吉野・熊野」、熊野信仰の中心地である「熊野三山」、真言密教の根本道場である「高野山」の三霊場、及びこれらを結ぶ「参詣道」から構成されている。この中には、文化財保護法に基づく史跡7件、史跡名勝1件、名勝1件、名勝・天然記念物1件、天然記念物4件があり、また、国宝4棟、重要文化財23棟の建造物が含まれ、参詣道は「大峯奥駈道」、「熊野参詣道」、「高野山町石道」と呼ばれる三つの道がある。

このうち、本宮町語り部の会がフィールドワークとしている熊野古道は「中辺路(なかへち)」と呼ばれている。京都から「熊野三山」に参詣する道で、千年近い歴史と往時を偲ぶことが出来る王子社、桧皮葺(ひわだぶき)の熊野本宮大社等の史跡があることから、世界遺産に登録されると、熊野古道を訪れる観光客はかなり増加するものと予想される。

坂本氏はこれらの観光客、ハイカーの方々に満足して帰っていただくには、ひとえに語り部による案内に掛かっていると言っても過言ではないと信じて疑わない。「熊野古道を単なる観光でなく、歴史を踏まえて深く知ってもらいたい」と75歳とは思えぬ体力・知力で本宮町語り部の会会長として語り部24名の会員を引っ張り、また英語の語り部の育成など将来を見据えた語り部の養成に積極的に取り組むと共に、永年の郷土史研究で培った成果を基に古道案内に磨きをかけている。
熊野三山熊野本宮大社
熊野三山熊野本宮大社
熊野古道「発心門王子」
熊野古道「発心門王子」

「町民すべてが語り部」を夢見て

坂本氏の尽力により、語り部による古道案内も軌道に乗り、それまでは熊野本宮大社と温泉がキャッチフレーズであった本宮町の観光がこれまでとは違った広がりを見せ始めるなかで、旅館・民宿の人々が語り部となり、お客様の要望に応えて古道案内をするところも出てきた。
その様な気運の中で坂本氏は、世界遺産登録をきっかけとして訪れる人々に対し、町民すべてが語り部となり、おもてなしの心でお迎えする必要があるとの思いで現在次の様な取り組みを行っている。
[1]お客様を最初にお迎えする女将さんに熊野古道を知っていただき、的確な案内ができるよう、熊野古道を歩いての研修を開始。

[2]町民すべてが古道案内をできるようになることを目指し、熊野の歴史や世界遺産登録を、公民館活動のカリキュラムの中に取り入れてもらい、講演会と現地研修を計画。自らも講師を勤めている。
1998(平成10)年に語り部の会会長として就任後作成した研修用冊子も再版ごとに内容が充実、手探り状態の中から始まった語り部の活動も形を整えつつある。

「本宮町では町民すべてが語り部」そんな日が来る事を夢見て今日も古道ガイドとして励む坂本氏である。
本宮町女将の会による熊野古道の研修
本宮町女将の会による熊野古道の研修

参考文献

2003(平成15)年8月31日株式会社新評論より発行の細谷昌子著書「熊野古道(みちくさひとりある記)」に著者と坂本氏との対談記事掲載
このページに関するお問い合わせ
熊野本宮語り部の会 事務局 安井 敬吾様
電話 0735-42-0735
FAX 0735-42-1606
関連情報はこちら→本宮町観光協会ホームページ