国土交通省
 平成13年全国一級河川の水質現況
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平成14年7月26日

<問い合わせ先>

河川局河川環境課

(内線35452)

TEL:03-5253-8111(代表)

 

平成13年全国一級河川の水質現況(概要)

 国土交通省は昭和33年から一級河川における水質調査を実施し、昭和47年から全国の一級河川の水質調査結果を取りまとめ、公表している。
本資料は、平成13年(暦年)における全国一級河川(109水系)の水質調査結果の概要をとりまとめたものである。

  1. 河川の流量
     ○平成13年の流量は平年よりやや減
    •  河川の水質は流量の大小によって左右されるが、平成13年の一級河川の流量は、最近10ヶ年(平成3年〜平成12年)と比較すると、年間総流出量は8%減、低水流量では6%増となった。また、前年との比較では、年間総流出量は5%減、低水流量では4%増となっている。

    表−1 一級河川の流量状況

      基準地点における年間総流出量の合計 基準地点における低水流量※の合計 備考
    平成13年(A) 2,448億m3 4,016m3/s 平成13年の年間総流出量及び低水流量の合計値は推定値。
    平成12年(B) 2,588億m3 3,845m3/s
    最近10ヵ年平均(C) 2,659億m3 3,777m3/s
    (A)/(B)×100% 95% 104%
    (A)/(C)×100% 92% 106%


     ※低水流量:一年を通じて275日はこれを下らない流量

  2. 河川(湖沼等を含む)の水質
    (1)水質調査地点
    ○調査地点は 1,093地点
     一級河川の直轄管理区間約10Kmに1ヶ所の割合で実施
    •  一級河川の直轄管理区間の河川延長約10,500km(平成13年4月現在)に対して水質調査地点は1,093地点設けており、平均的には河川延長約10kmに1ヶ所の割合で水質調査を実施している。

    (2)水質調査結果
    ○平成13年に環境基準を満足している地点の割合は、前年と同じ 83%、近年横這いの状況

    •  生活環境の保全に関する環境基準の項目のうち、有機汚濁の代表的な水質指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)及びCOD(化学的酸素要求量)をみると、平成13年に環境基準を満足している地点の割合は平成12年と同じく83%となった。
    •  平成13年の年間総流出量は前年と比較するとわずかに減少しているものの、環境基準を満足する地点の割合は前年と同じであり、近年は横這いの傾向を示している。

    図−1 一級河川(湖沼等を含む)において環境基準を満足している地点の割合と年間総流出量の経年変化(全国)
    図−1 一級河川(湖沼等を含む)において環境基準を満足している地点の割合と年間総流出量の経年変化(全国)

    ○環境基準を満足している地点の地方別割合はおおむね前年とほぼ同じ

    •  環境基準を満足している地点の割合を地方別にみると、北陸、中部の順で大きく、関東でその割合が小さい。 
    •  前年と比較すると東北、四国で前年を下回ったものの、その他の地方では同程度かやや上回った。北陸、中部では過去最高の割合となった。

    図−2 一級河川(湖沼等を含む)における環境基準を満足している地点の地方別割合
    図−2 一級河川(湖沼等を含む)における環境基準を満足している地点の地方別割合

    図−3 一級河川(湖沼等を含む)における環境基準を満足している地点の地方別割合の経年変化
    図−3 一級河川(湖沼等を含む)における環境基準を満足している地点の地方別割合の経年変化

    ○河川のBOD75%値※は全体の 89.2%が 3mg/l以下の良好な水質

    •  平成13年の河川の水質は、全調査地点の89.2%でBOD75%値が3mg/l以下となっており、平成12年と比較すると1.0ポイント増加した。
    •  BOD75%値が10mg/lを超える汚濁の著しい地点は、全体の0.4%であり、前年の0.9%よりやや減少している。


    図−5 BOD75%値ランク別割合(河川)
    図−5 BOD75%値ランク別割合(河川)

    図−6 BOD75%値ランク別割合の経年変化(河川)
    図−6 BOD75%値ランク別割合の経年変化(河川)

    ※75%値:BODやCODに係る環境基準の達成状況は、公共用水域が通常の状態(河川にあっては低水流量 以上の流量)にあるときの測定値によって判断することとなっているが、現実には低水流量時の水質の把握 が困難であることから、測定された年度のデータのうち、75%以上のデータが基準値を達成することをも って、評価することとしている。例えば、毎月1回測定している場合、1年間の12個のデータのうち水質 の良い方から9番目のデータが75%値となる。

    ○主要河川は良好な水質を維持

    •  各地方を代表する主要河川においては、BOD75%値が概ね2.0mg/l以下の良好な水質を維持している。


    図−7(1)主要河川の代表地点におけるBOD75%値の経年変化
    図−7(1)主要河川の代表地点におけるBOD75%値の経年変化

    図−7(2)主要河川の代表地点におけるBOD75%値の経年変化
    図−7(2)主要河川の代表地点におけるBOD75%値の経年変化

    図−7(3)主要河川の代表地点におけるBOD75%値の経年変化
    図−7(3)主要河川の代表地点におけるBOD75%値の経年変化

    ○大都市部の河川でも徐々に水質が改善

    •  大和川等の大都市部の河川の水質は、近年かなり良くなってきている。しかし、BOD75%値でみると、10mg/l程度の河川も依然としてみられる。


    図−8 主要都市河川代表地点におけるBOD75%値の経年変化
    図−8 主要都市河川代表地点におけるBOD75%値の経年変化

    ○湖沼等におけるCOD75%値はほぼ横這い

    •  湖沼等における水質では、COD75%値が3.0mg/l以下の調査地点の割合が54.7%となり、前年を1.9ポイント上回ったが、近年ほぼ同じ数値となっている。


    図−9(1)COD75%値ランク別割合の経年変化(湖沼等)
    図−9(1)COD75%値ランク別割合の経年変化(湖沼等)

    •  霞ヶ浦の湖心地点では、CODは近年若干良好な値を示している。総窒素は若干変動があるもののほぼ横這い。総リンは平成8年頃までは増加傾向であったが、近年はほぼ横這い。

    図−9(2) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化 霞ヶ浦 湖心
    図−9(2) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化
    霞ヶ浦 湖心

    •  琵琶湖の北湖安曇川沖中央地点では、CODはやや悪化の傾向を示しており、総窒素は近年横這い。なお、総リンは環境基準を満足している。

    図−9(3) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化 琵琶湖(北湖) 安曇川沖中央
    図−9(3) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化
    琵琶湖(北湖) 安曇川沖中央

    •  琵琶湖の南湖大宮川沖中央では、CODはやや悪化の傾向を示しているが、総窒素、総リンはともに近年、ほぼ横這いの傾向を示している。

    図−9(4) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化 琵琶湖(南湖) 大宮川沖中央
    図−9(4) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化
    琵琶湖(南湖) 大宮川沖中央

    •  中海の湖心地点では、CODは赤潮の発生があった平成7年との比較では良くなっているが、近年、やや悪化の傾向を示している。総窒素及び総リンは昨年よりも良くなっているが、ここ数年との比較ではほぼ横這い。

    図−9(5) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化 中海 湖心
    図−9(5) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化
    中海 湖心

    •  宍道湖のNo.3(湖心)地点では、COD及び総窒素は近年ほぼ横這い。総リンは近年悪化の傾向を示しているものの、平成13年は前年より良好な値を示した。

    図−9(6) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化 宍道湖NO.3 湖心
    図−9(6) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化
    宍道湖NO.3 湖心

    ○BOD平均値からみた河川の水質ベスト1は尻別川、ワースト1は綾瀬川

    •  水質調査地点が2地点以上の一級河川(166河川)を対象に、BODの年間平均値の地点平均により各河川の水質をとりまとめた。水質のベスト1は前年に引き続き尻別川であった。

    表−2 BOD平均値による河川の水質状況(ベスト5)

      順位 河川名 都道府県名 地点数 BOD平均値 BOD75%値


    13
    1 尻別川(シリベツガワ) 北海道 2    0.5 mg/l    0.5 mg/l
    2 宮川(ミヤガワ) 三重 2    0.6    0.5
    3 雨竜川(ウリュウガワ) 北海道 2    0.6    0.6
    空知川(ソラチガワ) 北海道 4    0.6    0.6
    後志利別川(シリベシトシベツガワ) 北海道 3    0.6    0.6
    札内川(サツナイガワ) 北海道 2    0.6    0.6
    黒部川(クロベガワ) 富山 3    0.6    0.6
    荒川(アラカワ) 新潟 4    0.6    0.6
    北川(キタガワ) 福井 3    0.6    0.6

      順位 河川名 都道府県名 地点数 BOD平均値 BOD75%値


    12
    1 尻別川(シリベツガワ) 北海道 2    0.5 mg/l    0.5 mg/l
    後志利別川(シリベシトシベツガワ) 北海道 3    0.5    0.5
    姫川(ヒメカワ) 新潟 2    0.5    0.5
    宮川(ミヤガワ) 三重 2    0.5    0.5
    5 北川(キタガワ) 福井 3    0.6    0.5


     ※BOD平均値が同じ場合は、75%値により評価した。なお、平成11年から、報告下限値を0.5mg/lとして集計している。

    •  水質の悪い河川では、綾瀬川がワースト1となった。ランク入りした河川は昨年と同じ河川であるが、いずれの河川も経年的に見ると水質は良くなる傾向にある。

    表−3 BOD平均値による河川の水質状況(ワースト5)

      順位 河川名 都道府県名 地点数 環境基準満足地点数 BOD平均値 BOD75%値


    13
    1 綾瀬川(アヤセガワ) 埼玉・東京   3 1    6.4 mg/l    8.1 mg/l
    2 大和川(ヤマトガワ)  奈良・大阪   7 1    5.6    6.8
    3 鶴見川(ツルミガワ)  神奈川   4 3    5.1    6.6
    4 中川(ナカガワ)  埼玉・東京   5 1    4.6    5.6
    5 猪名川(イナガワ) 大阪・兵庫   3 2    3.4    4.2


     ※大和川は平成13年調査地点に1地点欠測があるため、平均値・75%値は7地点で算出した。

      順位 河川名 都道府県名 地点数 環境基準満足地点数 BOD平均値 BOD75%値


    12
    1 大和川(ヤマトガワ) 奈良・大阪 8 1    6.7mg/l    9.3mg/l
    2 綾瀬川(アヤセガワ) 埼玉・東京 3 2    6.5    7.1
    3 鶴見川(ツルミガワ) 神奈川 4 3    5.0    5.9
    4 中川(ナカガワ) 埼玉・東京 5 2    4.7    5.7
    5 猪名川(イナガワ) 大阪・兵庫 3 3    3.0    3.6 

    〇BOD平均値ワースト5河川は近年10ヵ年でいずれも水質は改善。

    •  BOD平均値によるワースト5河川で平成3年と平成13年の水質変化を以下にまとめた。いずれの河川も10年前よりも水質が改善し、BODの減少率は平均30%に達する。

    表−4 ワースト5河川の水質改善状況

    河川名 都道府県名 地点数 BOD平均値(mg/l) 減少量
    (mg/l)
    減少率
    平成13年
    (A)
    平成3年
    (B)
    (C=B-A) C/B
    綾瀬川 埼玉・東京 3 6.4 14.7 8.3 56%
    大和川 奈良・大阪 8 5.6 7.9 2.3 29%
    鶴見川 神奈川 4 5.1 6.0 0.9 15%
    中川 埼玉・東京 5 4.6 7.2 2.6 36%
    猪名川 大阪・兵庫 3 3.4 4.0 0.6 15%
    平均 30%

    図―10 BOD平均値ワースト5河川H3→H13比較
     図―10 BOD平均値ワースト5河川H3→H13比較

    ○健康項目はほぼ基準値を満足

    •  人の健康の保護に関する環境基準は、公共用水域に一律に適用されるものとして、従来23項目が定められていたが、平成11年2月に3項目追加され、現在26項目※1となっている。
    •  平成13年の人の健康の保護に関する項目の調査は、全国の一級河川928地点(総検体数64,431検体)で実施した。その結果、環境基準を満足できなかった地点は、砒素が2地点、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が1地点、ふっ素が3地点、ほう素が20地点であった。それ以外の地点では全て環境基準を満足していた。なお、ふっ素及びほう素の超過地点は感潮区間内にあり、海水の影響を受けたものと推定される。

    ○要監視項目は全て指針値を満足

    •  「要監視項目」は、人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域における検出状況等からみて、現時点では直ちに環境基準健康項目とせず、引き続き知見の集積に努めるべきと判断されているものである。従来25項目が選定されていたが、このうち3項目が平成11年2月に環境基準に移行したことから、現在22項目※2が対象とされている。
    •  平成13年の要監視項目の調査は、全国の一級河川383地点で総検体数8,108検体について実施した。その結果、すべて指針値を満足していた。

    ※1














    カドミウム
    全シアン
    六価クロム
    砒素
    総水銀
    アルキル水銀
    PCB
    ジクロロメタン
    四塩化炭素
    1,2−ジクロロエタン
    1,1−ジクロロエチレン
    シス−1,2−ジクロロエチレン
    1,1,1−トリクロロエタン
    1,1,2−トリクロロエタン
    トリクロロエチレン
    テトラクロロエチレン
    1,3−ジクロロプロペン
    チウラム
    シマジン
    チオベンカルブ
    ベンゼン
    セレン
    硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 平成11年2月に要監視項目より追加
    ふっ素
    ほう素

    ※2




    イソキサチオン
    ダイアジノン
    フェニトロチオン(MEP)
    イソプロチオラン
    オキシン銅(有機銅)
    クロロタロニル(TPN)
    プロピザミド
    クロロホルム
    トランス−1,2−ジクロロエチレン
    1,2−ジクロロプロパン
    p−ジクロロベンゼン
    EPN
    ジクロルボス(DDVP)
    フェノブカルブ(BPMC)
    イプロベンホス(IBP)
    クロルニトロフェン(CNP)
    トルエン
    キシレン
    フタル酸ジエチルヘキシル
    ニッケル
    モリブデン
    アンチモン

  3. 水質事故の発生状況
    ○水質事故件数は年々増加傾向
    •  平成13年における一級河川の水質事故の発生件数は、794件であり、平成12年の670件を124件上回った。
    •  上水道の取水停止を伴ったものは、33件であり、平成12年の36件より減少している。
    •  水質事故の原因物質としては、重油、軽油などの油の流出が83%を占め、最も多い。
    •  原因が特定されていない魚の浮上死等は、水質事故件数に含めていないが、平成12年は21件発生している。
    •  なお、一級水系については、河川管理者と関係機関により構成される「水質汚濁防止連絡協議会」が全ての水系に設置されており、これらの水質事故等の発生時においては、速やかに情報の収集、通報、連絡を行うとともに、関係機関と連携のもとオイルフェンスの設置等により被害の拡大防止に努めている。

    図−11 一級河川における水質事故発生件数の経年変化
    図−11 一級河川における水質事故発生件数の経年変化
    図−12 原因物質別水質事故発生件数

    水質事故の原因物質による分類

    (1)油類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 重油、軽油、ガソリン等の流出
    (2)化学物質・・・・・・・・・・・・・・ シアン、有機溶剤、農薬等の流出
    (3)油類、化学物質以外・・・・土砂、糞尿等の流出
    (4)その他・・・・・・・・・・・・・・・・・自然現象ではなく、魚の浮上死等が確認され、原因物質が特定できなかったもの


    図−12 原因物質別水質事故発生件数


平成13年全国一級河川の水質現況(全体版)

第1章 河川の水質現況(PDF形式) 1/4 2/4 3/4 4/4

第2章 河川の水環境改善のための事業及び施策(PDF形式)

参考資料(PDF形式)

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