平成15年7月8日 |
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平成14年全国一級河川の水質現況(概要)
国土交通省は昭和33年から一級河川における水質調査を実施し、昭和47年から全国の一級河川の水質調査結果を取りまとめ、公表している。
本資料は、平成14年(暦年)における全国一級河川(109水系)の水質調査結果の概要をとりまとめたものである。
【今年のトピックス】
○平成14年より、「人と川とのふれあい」の観点から新たな指標の試行として糞便性大腸菌群数及び透視度の調査実施。
○アゴヒゲアザラシが現れた河川の内、2河川(つる鶴みがわ見川、なかがわ中川)がワースト5の河川。しかし鶴見川、中川においても魚介類などが、生息する河川環境。
【継続調査結果】
○水質調査結果は、環境基準を満足した地点の割合は 85%で前年より2%増。BOD75%値は全体の約9割が 3mg/ヒ 以下の良好な水質。
○BOD平均値が最も良好だったのはしりべつかわ尻別川、しりべし後志としべつがわ利別川、さつないがわ札内川(以上、北海道)、みやがわ宮川(三重)で尻別川は4年連続の1位。 最も悪かったのはつる鶴みがわ見川(神奈川県)で昨年1位の綾瀬川(埼玉県・東京都)が3位に。
○主要な湖沼におけるCOD75%値は全体として横這い。
○ BODによる河川の水質状況ワースト5において、各河川でのBOD75%値は、D類型(8mg/ヒ以下 )を超えるものがなくなった。 平均値が最も悪い鶴見川、やまとがわ大和川においてもC類型(5mg/ヒ以下)に近づく5.5mg/ヒであった。
○水質事故は依然として増加傾向にあり、平成5年との比較では約3倍の事故報告。事故原因物質は約8割が重油、軽油などの油の流出。重大事故は減少の傾向。
○糞便性大腸菌群数調査は水浴場の判定基準によると約7割が『可』以上
図−1 糞便性大腸菌群数のランク別割合(平成14年4〜7月)※2
※1水浴場判定基準(環境省)…糞便性大腸菌群数について以下のとおり区分され、水質AA及び水質Aであるものを「適」、水質B及び水質Cを「可」とする。
水質AA:不検出(検出限界2個/100mヒ)、
水質A:100個/100mヒ以下、
水質B:400個/100mヒ以下、
水質C:1,000個/100mヒ以下、
不適:1,000個/100mヒを超える
※2調査データの集計期間は、春先から夏場にかけて河川にふれあうという観点から設定した。データは各地点の平均値による。
○透視度調査では約半分が川とふれあいやすい環境と評価できる
図‐2 透視度のランク別割合(平成14年7月)
※透視度とは、水の中に含まれる濁りの程度を示す指標で、1mのメスシリンダーに水を入れ底部の白色円板に引かれた二重十字が識別できる限界の水の厚さをcmとして表したものである。 すなわち、値が大きいほど濁りが少ないことを表す。調査データの集計期間は、夏場に河川にふれあうという観点から設定した。
○全国主要河川の糞便性大腸菌群数、透視度調査結果
表−1 主要河川の調査結果一覧
河川名 | 調査地点 | 都道府県 | 糞便性大腸菌群数(個/100ml) | 透視度(cm) |
石狩川 | 石狩大橋 | 北海道 | 347 | 33 |
北上川 | 狐禅寺 | 岩手 | 548 | 100以上 |
利根川 | 栗橋 | 埼玉 | 430 | 69 |
多摩川 | 田園調布堰(上) | 東京 | 258 | 100以上 |
信濃川 | 平成大橋 | 新潟 | 719 | 10 |
木曽川 | 濃尾大橋 | 愛知 | 135 | 60 |
淀川 | 枚方大橋(中) | 大阪 | 939 | 73 |
太田川 | 玖村 | 広島 | 421 | 64 |
吉野川 | 高瀬橋 | 徳島 | 15 | 100以上 |
筑後川 | 瀬ノ下 | 福岡 | 169 | 65 |
○アゴヒゲアザラシが現れた河川はこんな川
アゴヒゲアザラシが現れた河川の内、2河川(鶴見川、中川)がワースト5の河川。しかし鶴見川、中川においても魚介類などが、生息する河川環境である。
表−2 アゴヒゲアザラシが現れた河川の状況
○平成14年の流量は平年よりやや減
表−3 一級河川の流量状況
基準地点における年間総流出量の合計 | 基準地点における低水流量※の合計 |
備考 |
|
平成14年 (A) | 2,441億m3 | 3,935m3/s | 平成14年の年間総流出量及び低水流量の合計値は推定値。 |
平成13年 (B) | 2,475億m3 | 3,837m3/s | |
最近10ヵ年平均 (C) | 2,610億m3 | 3,732m3/s | |
(A)/(B)×100% | 99% | 103% | |
(A)/(C)×100% | 94% | 105% |
(1)水質調査地点
○調査地点は 1,094地点
一級河川の直轄管理区間約10Kmに1ヶ所の割合で実施
(2)水質調査結果
○平成14年に環境基準を満足している地点の割合は、85%と前年より2%増、近年やや増加の傾向
図−3 一級河川(湖沼等を含む)において環境基準を満足している地点の割合と
年間総流出量の経年変化(全国)
○環境基準を満足している地点の地方別割合はおおむね前年と同じ
図−4 一級河川(湖沼等を含む)における環境基準を満足している地点の地方別割合
図−5 一級河川(湖沼等を含む)における環境基準を満足している地点の地方別割合の経年変化
図−6 平成14年 一級河川の水質状況図
(河川主要地点はBOD75%値 湖沼主要地点はCOD75%値)
○河川のBOD75%値※は全体の 90.1%が 3mg/ヒ 以下の良好な水質
図−7 BOD75%値ランク別割合(河川)
図−8 BOD75%値ランク別割合の経年変化(河川)
※75%値:BODやCODに係る環境基準の達成状況は、公共用水域が通常の状態(河川にあっては低水流量以上の流量)にあるときの測定値によって判断することとなっているが、現実には低水流量時の水質の把握が困難であることから、測定された年度のデータのうち、75%以上のデータが基準値を達成することをもって、評価することとしている。 例えば、毎月1回測定している場合、1年間の12個のデータのうち水質の良い方から9番目のデータが75%値となる。
○主要河川は良好な水質を維持
図−9(1) 主要河川の代表地点におけるBOD75%値の経年変化
図−9(2) 主要河川の代表地点におけるBOD75%値の経年変化
図−9(3) 主要河川の代表地点におけるBOD75%値の経年変化
○湖沼等におけるCOD75%値はほぼ横這い
図−10(1) COD75%値ランク別割合(湖沼等)
図−10(2) COD75%値ランク別割合の経年変化(湖沼等)
図−10(3) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化
霞ヶ浦 湖心
図−10(4) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化
琵琶湖(北湖) 安曇川沖中央
図−10(5) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化
琵琶湖(南湖) 大宮川沖中央
図−10(6) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化
中海 湖心
図−10(7) 主要湖沼代表地点における水質の経年変化
宍道湖NO.3 湖心
○BOD平均値からみた河川の水質ベスト1は尻別川、後志利別川、札内川(以上、北海道)、宮川(三重)、ワースト1は鶴見川
表−4 BOD平均値による河川の水質状況(ベスト5)
年 | 順位 | 水系名 | 河川名 | 都道府県名 | 地点数 | BOD (mg/l) | ||
平均値 | (75%値) | |||||||
平成14年 | 1 | 尻別川 | 尻別川 | (シリベツガワ) | 北海道 | 2 | 0.5 | (0.5) |
後志利別川 | 後志利別川 | (シリベシトシベツガワ) | 北海道 | 3 | 0.5 | (0.5) | ||
十勝川 | 札内川 | (サツナイガワ) | 北海道 | 2 | 0.5 | (0.5) | ||
宮川 | 宮川 | (ミヤガワ) | 三重 | 2 | 0.5 | (0.5) | ||
5 | 大野川 | 大野川 | (オオノガワ) | 大分 | 5 | 0.5 | (0.6) | |
平成13年 | 1 | 尻別川 | 尻別川 | (シリベツガワ) | 北海道 | 2 | 0.5 | (0.5) |
2 | 宮川 | 宮川 | (ミヤガワ) | 三重 | 2 | 0.6 | (0.5) | |
3 | 石狩川 | 雨竜川 | (ウリュウガワ) | 北海道 | 2 | 0.6 | (0.6) | |
石狩川 | 空知川 | (ソラチガワ) | 北海道 | 4 | 0.6 | (0.6) | ||
後志利別川 | 後志利別川 | (シリベシトシベツガワ) | 北海道 | 3 | 0.6 | (0.6) | ||
十勝川 | 札内川 | (サツナイガワ) | 北海道 | 2 | 0.6 | (0.6) | ||
黒部川 | 黒部川 | (クロベガワ) | 富山 | 3 | 0.6 | (0.6) | ||
荒川 | 荒川 | (アラカワ) | 新潟 | 4 | 0.6 | (0.6) | ||
北川 | 北川 | (キタガワ) | 福井 | 3 | 0.6 | (0.6) |
※BOD平均値が同じ場合は、75%値により評価した。なお、平成11年から、報告下限値を0.5mg/ヒとして集計している。
表−5 BOD平均値による河川の水質状況(ワースト5)
年 | 順位 | 水系名 | 河川名 | 都道府県名 | 地点数 | BOD (mg/l) | ||
平均値 | (75%値) | |||||||
平成14年 | 1 | 鶴見川 | 鶴見川 | (ツルミガワ) | 神奈川 | 4 | 5.5 | (6.8) |
2 | 大和川 | 大和川 | (ヤマトガワ) | 奈良・大阪 | 8 | 5.5 | (6.7) | |
3 | 利根川 | 綾瀬川 | (アヤセガワ) | 埼玉・東京 | 3 | 5.4 | (6.0) | |
4 | 淀川 | 猪名川 | (イナガワ) | 大阪・兵庫 | 3 | 4.1 | (5.0) | |
5 | 利根川 | 中川 | (ナカガワ) | 埼玉・東京 | 5 | 3.9 | (4.7) | |
平成13年 | 1 | 利根川 | 綾瀬川 | (アヤセガワ) | 埼玉・東京 | 3 | 6.4 | (8.1) |
2 | 大和川 | 大和川 | (ヤマトガワ) | 奈良・大阪 | 7 | 5.6 | (6.8) | |
3 | 鶴見川 | 鶴見川 | (ツルミガワ) | 神奈川 | 4 | 5.1 | (6.6) | |
4 | 利根川 | 中川 | (ナカガワ) | 埼玉・東京 | 5 | 4.6 | (5.6) | |
5 | 淀川 | 猪名川 | (イナガワ) | 大阪・兵庫 | 3 | 3.4 | (4.2) |
※大和川は平成13年調査地点に1地点欠測があるため、平均値・75%値は7地点で算出した。
〇BOD平均値ワースト5河川はいずれも水質は改善傾向
図‐11 ワースト5河川のBOD75%値の経年変化
※ 本グラフはそれぞれの河川のうち代表的な一地点での値を示しており、表−5、図−12の値とは一致しない
図‐12 ワースト5河川BOD75%値H4→H14比較
○BOD75%値改善率(平成4年と平成14年の比較)No.1は揖保川で92%
図‐13 BOD75%値(H4→H14)改善、増加河川割合
○健康項目はほぼ基準値を満足
○要監視項目は全て指針値を満足
※1 | ||
人 の 健 康 の 保 護 に 関 す る 環 境 基 準 |
カドミウム | |
全シアン | ||
鉛 | ||
六価クロム | ||
砒素 | ||
総水銀 | ||
アルキル水銀 | ||
PCB | ||
ジクロロメタン | ||
四塩化炭素 | ||
1,2−ジクロロエタン | ||
1,1−ジクロロエチレン | ||
シス−1,2−ジクロロエチレン | ||
1,1,1−トリクロロエタン | ||
1,1,2−トリクロロエタン | ||
トリクロロエチレン | ||
テトラクロロエチレン | ||
1,3−ジクロロプロペン | ||
チウラム | ||
シマジン | ||
チオベンカルブ | ||
ベンゼン | ||
セレン | ||
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 | 平成11年2月に要監視項目より追加 | |
ふっ素 | ||
ほう素 |
※2 | |
要 監 視 項 目 |
イソキサチオン |
ダイアジノン | |
フェニトロチオン(MEP) | |
イソプロチオラン | |
オキシン銅(有機銅) | |
クロロタロニル(TPN) | |
プロピザミド | |
クロロホルム | |
トランス−1,2−ジクロロエチレン | |
1,2−ジクロロプロパン | |
p−ジクロロベンゼン | |
EPN | |
ジクロルボス(DDVP) | |
フェノブカルブ(BPMC) | |
イプロベンホス(IBP) | |
クロルニトロフェン(CNP) | |
トルエン | |
キシレン | |
フタル酸ジエチルヘキシル | |
ニッケル | |
モリブデン | |
アンチモン |
○水質事故件数は年々増加傾向
図−14 一級河川における水質事故発生件数の経年変化
図−15 原因物質別水質事故発生件数
平成14年全国一級河川の水質現況(PDF形式)
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