国土交通No.116

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国土交通No.116

介護施設と診療所の近くに高齢者専用の住宅を設立昭和初期から診療所を営み、地域の在宅医療に取り組んできた徳永医院が特別養護老人ホーム「フラワーホーム」を設立したのは昭和55年のことだ。以来、社会福祉法人「山陵会」として高齢者介護に関するサービスを総合的に整え、診療所での医療とともに地域の高齢者の健康を見守ってきた。霧島市溝辺町は零細の農家が多く、高度成長期に若い世代が故郷を離れ、大都市へと移住していった。高齢となった親の世代の多くは単身もしくは夫婦世帯である。持ち家率は高いが、住宅の老朽化は進んでいる。過疎化も進んだため、隣近所との関係が希薄になる一方で介護サービスの非効率化も招いている。医師であり、山陵会の理事長を務める徳永正義氏は、「ひとりで暮らすことの寂しさや不安が認知症やうつ病などの疾患の発生に大きく関連しています。しかし、高齢者の多くは、定員や費用の面で既存の老人福祉施設などに入れません。また、住み慣れたこの土地も離れたくない。残されているのは、一人暮らしを続けながら在宅介護サービスを受ける道以外にありません」と語る。新たな選択肢を提供したかった徳永氏は、高齢者向けのシェアハウス「ふもとの家」を立ち上げた。その経験のなかで、「医療と福祉のサービスが高齢者の暮らしを支えられれば、介護が必要な状態にあっても自分の家(部屋)で暮らすことができる」と確信し、高齢者専用の共同住宅を発案した。タイミングよく国土交通省が「高齢者・障害者・子育て世帯居住安定化推進事業」を募集していたので、社会福祉法人山陵会の事業として申請しモデル事業となった。こうして「隠居長屋ろんち」は徳永医院の隣に建てられ、平成22年4月に開所した。介護保険のサービス施設も目と鼻の先にある。60歳以上で、要介護認定は最も重度の「5」までを入居可能とした。住宅数は10戸。L字型の建物で中間部分には食堂がある。部屋の広さは約15㎡から20㎡。家賃は収入に応じて決まるが最高でも2万5徳永正義氏社会福祉法人山陵会理事長高齢者の生活を応援するまちづくり過疎化が進む鹿児島県霧島市にある社会福祉法人「山陵会」では、高齢者向け住宅「隠居長屋ろんち」を設立した。24時間365日体制で対応する医療と日常生活を支える福祉が連携し、住み慣れた土地で介護が必要になっても、本人の意思が尊重される生活を提供するモデルケースとして期待されている。地方での取り組み地域の子どもたちと一緒に描いたウォールペイント。ウッドデッキの木材は近隣住民の方からの寄付06