国土交通No.127
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15関する検査などが該当。これらの業務を5つの部門でそれぞれが役割を担いますが、鉄道部全体では21名(うち技術課は5名)と少ない人数のなか、案件によっては組織全体で、共同体制で対応することも多いといいます。北陸新幹線開業に伴い、さまざまな業務を同時に行っていますが「並行在来線の第三セクターへの移行」に関する許認可もその一つ。平成26年2月には長野から金沢までの約240㎞の並行在来線をJRから引き継ぐこととなる四つの会社に対する事業許可を行いました。今後は運賃や車両など、より業務に直結した事項についての審査や許認可が控えています。また、新潟駅や富山駅では、在来線を高架化する連続立体交差化工事が進んでいます。新幹線とのスムースな乗り継ぎや交通渋滞の緩和、鉄道で分断されていた南北市街地の一体化などを目的としており、地域や利用者の安全性・利便性の向上や駅周辺の拠点形成を考慮したものです。さらに上越妙高駅のように新しく開設する新幹線の駅に在来線の駅を隣接させるなどの工事も進んでいます。こうしたプロジェクトにおける許認可や完成検査も行います。「今後も北陸新幹線が開通すればいろいろな変化が生まれ、それに伴う対応も必要になります。しばらくは忙しい日々が続くと思いますが、関係機関と調整しながら速やかに業務に取り組んでいきたいです」(小松)。地域の特性や未来を見据えて理想の鉄道交通の実現に尽力大きなプロジェクトに関する業務以外にも、平時における鉄道環境の改善・整備も北陸信越運輸局鉄道部の重要な役割です。地域の特性として大雪などの自然災害対策も不可欠。工法や技術が進化するなかで、指導監督する側にも同レベルの知識が必要となります。また全国的に課題となっている老朽化対策や、耐震などの防災・減災対策の推進、補助金制度を運用した事業者支援なども行っています。さらにバリアフリー化の推進なども含め、安全安心で快適な鉄道交通の実現に重要な一翼を担っていることは間違いありません。特に在来線の安全性を考えるうえで、運転事故の多くを占める踏切事故の撲滅が、目下の重要課題です。立体交差化などの大事業の推進はもちろんですが、保安設備の整備や構造改良など、鉄道側のみならず道路管理者や地域の人々との協力のもと、地道に解決していくことが望まれます。「取り組みの大小に関わらず、常に技術力や知識を身につけ、組織として関係者と十分に議論・調整し、協力し合える存在でありたいですね。そして、それらの技術や知識を若い世代にもしっかりと引き継げるようにしていきたいと思います」(田中)。「安全・安心」の確保のみならず、「便利さ」「快適さ」も念頭に置きながら、地域や関係者との連携のもと「理想の鉄道交通」を実現するために―。北陸信越運輸局鉄道部の静かな奮闘は今も続いています。鉄道安全監査官小松 昭広昭和56年4月入省。最初の配属先は運輸省新潟運輸局山形県陸運事務所整備課。以降、自動車関係と鉄道関係の業務を複数歴任し、平成25年4月より北陸信越運輸局鉄道部鉄道安全監査官に。技術課長田中 篤昭和56年4月入省。鉄道の技術関係部署と自動車関係部署を複数歴任する。平成25年度より再び鉄道部に。新幹線に関しては、平成9年に開業した高崎~長野間の完成検査についても担当として携わった。現場力業務密着ルポシリーズFILE 28絶縁耐力試験の様子。JR西日本だけでなく、関係協力会社各社も参加しての試験屋内施設でも、各操作に問題ないか繰り返し試験北陸信越運輸局鉄道部PROFILE

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