国土交通No.127
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191.河川の状況梯川は、小松市の鈴ヶ岳に源を発し、手取川と梯川とによって形成された扇状地を西に蛇行しながら、小松市街地を貫流し、河口付近で木場潟より流れる前川が南より合流して、「勧進帳」で名高い安宅の関近くで日本海へ注ぎます。幹川流路延長は42㎞、流域面積は271㎢の一級河川で、流域の大半は小松市です。2.梯川治水の歴史梯川における治水の歴史は古く、天正時代から始まり、藩政時代も改修が行われていました。昭和34年8月には戦後最大の出水となり、梯川の堤防が決壊、さらに昭和43年8月、梯川本川の決壊こそはまぬがれましたが、八丁川、鍋谷川などの支川堤防が決壊しました。これを契機として、昭和46年に一級河川に指定され、河口から御茶用水頭首工上流までの区間を国土交通省(当時の建設省)が河川改修を行うこととなりました。梯川の改修方式は、引堤と河道掘削を中心とした改修により川幅を拡げ、洪水を流す能力を増やし、安全に日本海へ流すこととしています。平成25年7月にも埴田水位観測所において計画高水位である5・24mにあと1㎝とせまる5・23m(既往最大水位)となる大きな出水がありました。場所によっては計画高水位を超える状態となり、一時沿川小松市・能美市の住民6210世帯、1万8171人に避難勧告、指示が発令される状態となりましたが、下流部の引堤による改修によって、越水などによる破堤は発生しませんでした。3.分水路計画小松天満宮は、前田利常が小松城に隠居後、祖先神として崇拝する菅原道真を祭る北野天満宮を模して明暦3年(1657)に創建しました。江戸時代初期の優れた建築様式を今に伝えます。梯川は100年に1回の確率で発生する洪水を安全に流すため改修計画が進められています。一方、小松天満宮は小松市の成り立ちにかかわる歴史・文化的シンボルであり、国の重要文化財に指定された貴重な文化的遺産です。そのため天満宮を核とした地域づくりの要請や、その歴史・文化的価値の重要性を勘案し、現位置に保存する分水路方式による河川改修が決定し、平成28年度分水路通水に向け、現在鋭意施工中です。今後は、白江大橋より上流区間の引堤による改修を促進し、さらなる安全度向上を図っていくこととしています。Reporter金沢河川国道事務所調査第一課長谷口 和哉MLIT レポート石川県全国各地で働く国土交通省職員が地元を紹介!分水路イメージ図。国の重要文化財に指定された小松天満宮(中央)を保存することを目的とした改修を実施分水路改修事業川幅 約80m川幅 約120m川幅を1.5倍に拡幅新堤(引堤)整備昭和46年当時(直轄着手前)引堤整備後(現在)旧堤※旧堤撤去済み旧堤今回洪水で引堤しなかった場合の水位(計算値)今回洪水で引堤しなかった場合の水位(計算値)今回洪水の水位(計算値)(5.4k付近)(5.4k付近)引堤しなかった場合、越水、破堤していた恐れあり5.38m6.29m6.29m5.68m5.69m5.69m5.00mH.W.L 5.09m新堤約70cmの水位低下により越水を防いだ旧堤の高さ新堤の高さ天神水管橋小松大橋平成25年7月出水での改修効果

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